なんと弘前城は移動準備中だったのだ。
解体して、移動先で組み立てるとかではなく、なんと城自体をジャッキアップして、ずるずると引っ張っていくという。
しかも今、ちょうどジャッキアップしているところだという。
なんという荒唐無稽な。
このような建物を土台から外し、移動、引っ越しすることを曳屋(ひきや)工事と呼ぶ
直線距離で70m先に三階建ての大きな天守閣を曳屋して、たわみの出た石垣を修繕し、また元の場所まで曳屋して戻す。
真っ直ぐ一気に曳屋するのではなく、途中に二ヶ所中継地点を設け、角度を変えてまた引っ張る。
でも一番びっくりしたのはこの弘前城の曳屋、今回が初めてじゃないこと。
明治時代に一回曳屋して石垣を治した実績があるんだって。
現代のような建築機材があるわけではないだろうに、凄すぎ。
ハウルの動く城はファンタジーでも弘前の動く城はリアルだ。
有料区間の中に入ると、ジャッキアップしている様子がよく見えるよう、見学用のテラスが作ってある。
城は既にわずかな隙間だけど浮いている。
さっきまで全然城に興味が無さそうだった夫が、わくわくしながら工事の様子を眺めたり、説明パネルを読んだりしているのを見ると可笑しい。
移動先の城の土台は既に準備されていて、仮置き場といえど偽物感が半端ない。