そして浴室もまた期待を裏切らなかった。
窓の下半分を目隠しした(どうやって高台の景色見るんじゃ)浴室は、鏡なども錆びまくり。手前が洗い場、奥に二つの浴槽。
手前が「あつい」で、奥が「ぬるい」。
ぬる湯の方は「超音波ジェットバス」と表示があるが、完全に沈黙している。
帰りがけに受付で聞いた話では源泉はひとつであつ湯からあふれる分をぬる湯に入れているとの事だが、この二つはずいぶんと違って見える。
ぬる湯の方は東京の強塩泉のような見た目で濃いうぐいす色の濁り湯。
ぬるいとあってもそこそこ熱い。鉄のにおいが強く、じゅわっとしそうなお湯。
一方あつ湯はまず油膜が浮きまくり。お湯に入ったら全身に油膜が張り付きそう。
しかし手を入れると相当熱い。入れるかわからない。
すると洗い場にいたさっきのおばちゃんがいきなり近づいてきて、あつ湯の水をためらいも無く全開。その水流に押されて油膜がどんどん端に追いやられていく。代わりに壊れにくい泡が沢山生まれる。
おばちゃんは再び洗い場に戻ったので、ぬるまりきってしまう前に入ろうとあつ湯にチャレンジしてみた。大丈夫、入れるぐらいにぬるまった。
こちらは複雑なにおいがする。鉄もあるが油のにおいもある。わずかに硫黄系のにおいもする。それらが入りまじっている。
ちなみにおばちゃんはまたやってきて、今度はぬる湯に大量加水を始めた。熱いの嫌いなのか。
油膜が体につく。すぐにあたたまってどしっと来るお湯。汗が引かない。
帰りがけに気付いたが、お風呂では景色は見えなかったが、休憩所の一部ではその高台からの景色が見えないことは無かった。
湯上りはその時は気付かなかったが、後になって何かコーティングされているようなすべすべ感が強く残った。
しかし、あれだよ。
駐車場より大音響で演歌を流している浴室っていうのもなんだし、ガイドブックでは若い女の子が入浴してる写真だったのに、実際に行ってみたらパンチパーマのおばちゃんしかいなかったよ。