ひととおり順路を回った後は、四ヶ所の湯小屋を回ることにした。
まず花染の湯へ。
ここだけ参拝順路から外れたところにあり、唯一の混浴。
宿坊の裏手まで歩くのだが、距離感覚がつかめず不安になった。
花染の湯の周囲は立ち上る硫化水素臭。
ここは周辺の噴気孔からシューシューと蒸気が噴き出しているだけでなく、あちこちにぼこぼこと灰色の泥状の湯だまりができて実際に湯が湧いている。それらは危険なのでごく簡単に柵で囲ってあるだけだが。
恐山の湯小屋は四ヶ所ともいかにも恐山といった木の小屋で、中は衝立で仕切られた脱衣棚と長方形の木の浴槽。
混浴の花染の湯はひとつの浴槽が中で三つに仕切られている。
脱衣所から見て一番奥に湯口があり、そこから流れるお湯が順々に冷めていく。
少し緑がかっても見える綺麗な白濁湯で、濁りはそんなに強くなかった。ミルキーな乳白色でうっすらと底が透けて見える。
湯の花は白い粒上のものが沢山、浮いているし沈んでいる。
熱めでぴりぴりする。酸っぱいにおいも強い。
一ヶ所だけ離れていて他に参拝客の姿も見えなかったので、混浴でも安心して入っていたが、上がって着替えている時に男性二人が入ってきた。
相手はちょっと迷ったようだがそのまま入ろうとしたので、「1分待ってくれたら急いで着替えちゃいますので」と言って外で待ってもらった。