林の中をドライブしていると、ふいに視界が開けた。
左手に大きな湖が見えてきた。宇曽利湖だ。
山の中の湖でも高原のリゾートのようには見えないのは、空がどんよりと曇っているせいだけではあるまい。
小さな橋を渡ってすぐに右手に駐車場が見えた。
まだ朝の8時前だが、結構車は停まっている。
駐車場の端に六大地蔵がそれぞれ異なる道具を手に、蓮の花の上に座っておられる。
六大地蔵の後ろは塀と柵だが、その向こうに硫黄で白く染まった斜面が見えて、荒涼とした印象を与えている。
受付で入山料を納めて総門を潜ると、石畳の道が整然と真っ直ぐ伸びている。
道の正面に見えているのが山門で、受付で受け取ったリーフレットによれば山門の奥に本尊安置地蔵殿があるはずだ。
今はまだ、地蔵殿は山門の陰に隠れて見えない。山門の奥にはこんもりとした地蔵山が鎮座している。