5、6分走ったところで着いたのは町の中心地ではないが、飲み屋の看板や赤ちょうちんがいくつも下がる通りだった。
路上を歩く人の姿は見えないが、各々の居酒屋の中にはそれなりにお客さんが入っているよう。
飲み屋の電光看板の他はむしろ暗い通りだが、客待ちのタクシーだけは何台か停まっている。
建物の上の方を見上げると、シンデレラみたいなロゴでナイトパレスと怪しい店名が入っていたりするが、一応下北物語は普通の居酒屋みたいだ。
簾を潜って店に入ると、個室じゃないけど簡易に仕切られたテーブル席に案内してくれる。
下北半島の地物ならやっぱり魚介類かなと、帆立浜焼き、赤海老塩焼き、まぐろユッケなどを注文する。
そしてふと気になったのが壁に貼ってあるポスターで宣伝されている「みそ貝焼き」。今日、スーパーで缶詰も見た。
しかしこのみそ貝焼き、下北半島文化伝承料理と格調高く書いてある割には、その下に
「下北の風土が培ったものぐさな料理
おがず考えたぐねえ
買い物に行きたぐねえ
冷蔵庫の半端な材料で
・・・みそ貝焼き
くぢあんべえ、い~」とある。
なんか共感しちゃうぞ(違う)。
最後の一行の方言は読み解けないけど。
貝焼きの読みは「かいやき」だと思っていた。帰宅してから食べようと土産に買ったみそ貝焼きの元の缶詰に「kayaki」(カヤキ)と刻印されているのを見るまでは。
で、みそ貝焼きも注文。
それは帆立の貝殻に貝やら魚の切り身やら野菜やらを入れて出汁と味噌で煮て最後に卵でとじる。なかなか素朴な料理だった。