飛行機は羽田空港を飛び立ち、ぐんぐん高度を上げると、ずぼっと雲を突き抜け眩しい青空が広がった。
目が痛いほどの青。
眼下はふわふわの白い雲の波。
まさかこの時は本当にしばらくこの鮮やかな色の世界を見られないとは思わなかった。
水平飛行の後、高度が落ち始めると再び視界は青から白、白から灰色、濃い灰色へと変わり、町とパッチワークのような水田の上空を飛んだあと、ふいに山地に入ったと思うといきなり滑走路が現れた。
青森空港到着だ。
青森に着いたら晴れまでは望まなくても雨は止んでいると信じたかった。
しかし飛行機の窓から見る青森空港は東京に負けず劣らずの激しい雨。
全然止みそうにないし。今日はもう景色は期待できないかも。
到着ロビーの案内所で観光地のパンフレットか地図があったら貰ってきてと、煙草を吸ってきたいというヘビースモーカーの夫に頼まれて案内所のカウンターに行けば・・・
三内丸山遺跡とか浅虫水族館とかピンポイントの青森の観光地のパンフは少しだけあるにはあるが、県内を網羅する一枚ものの使いやすそうな地図はハングル版しか置いてないし、その他北海道観光だの東京観光だののちらし。なんだかものすごーく歓迎されてない気がするのは私だけか?
とにかく空港に隣接したレンタカーターミナルに移動し、車を借りる。
鹿児島のオリックスのように傘を貸してくれるというサービスも無く、事務的に手続きは進み、10時過ぎには空港を離れいったん高速に乗って東へ。
旅程が前半三日が下北半島(往復含む)で、最後一日が十和田・八甲田エリアなので、七戸あたりの温泉は行きと帰りに分けて寄ることも考えていたが、えーいこう天気が悪くちゃしょうがない。
今日、下北半島に移動する前に、寄れるだけ寄っちゃえ。
先のことは判らないから、今できることを考えよう。
そうしたら温泉に入るしかないじゃないか。