◆◇会津東山温泉巡り◇◆
湯小屋の右側には女湯が付いていたが、やはりここは混浴でも大岩風呂だろうと紺の暖簾が下がった入口を開ける。
外から見るよりずっと広く思える浴室は、少し薄暗く木組みの天井が黒々として見えた。
もうドアの向こうはいきなり浴室で、右手にそれほど背の高くない衝立を立てただけの脱衣棚があった。
「隣の女湯からバスタオルで移動してくるのは難しいかな」
外も通るしちょっと難しいんじゃないかとパパが言う。
しょうがない、衝立で何とかするか。幸い先客はマナーの良い方たちばかりでみんな背を向けていてくれる。
掛け湯をして入ると少しぬるめのくせのないお湯。
大きな浴槽の底は天然の岩がごつごつしていて深め。湯船に沈んで左前方の壁を見ると板壁の一部から大きな岩がむき出しに突き出していて小型の鳥居が岩の前に立てられている。岩は子宝石と呼ばれてなでると子宝に恵まれると言う伝説があると言うが、それを知ったのは上がった後だ。どちらにせよもう娘が二人いるしなでに行くつもりは無かったし。
お湯は無色透明。肌触りにきしつきを感じるほかは特に臭いも無い。
ぬるめなのにとてもよく温まり、熱い風呂が好きなパパは最初はぬるいぬるい言っていたにも関わらず、のぼせると言って早々に上がってしまった。
彼が上がった後にそちらに移動して足を伸ばしたら、底の岩の間に足の先が入り、そこから冷や冷やとした源泉が出ていることが判った。
ああ、ここ、足元湧出泉だったんだ。
そうじゃないかなと思っていたけど、ちょうどここから湧いているみたい。
ゆっくりと、ゆらゆらと、足元から立ち上る少し冷たい源泉。時々小さな泡も一緒に浮いてくる。何だか感動だなぁ。
窓の外を見るとガラスの向こう、緑の木々が陽を浴びて生き生きとしている。
ちなみにこれは
大黒屋混浴大岩風呂湯小屋の前にあるプールです