◆◇会津東山温泉巡り◇◆
受付では初めてですか?と聞かれた。
町中の日帰り温泉では料金システムの説明の有無などからこうした問いを受けることも多いが、山の中の一軒宿で聞かれたのは初めてかもしれない。それだけリピーターが多いということだろうか。
初めてだと答えると、スタンプカードを渡された。そうか、これのための質問か。通えたら通いたいけど遠すぎるよねぇ。
玄関から入って左に折れ、廊下を道なりに進むと男女別の浴室がある。
しかしお目当てはここではない。
受付で言っていた混浴の大岩風呂。確かここが
甲子温泉大黒屋の真骨頂。
途中でスリッパを履き替える靴棚があって、そこからは殺風景な狭い階段がずっと下に伸びている。
天上はトタンのうねうね。窓の少ない壁も古びていた。
手すりにつかまりながら急な階段を下りて外に出ると、思わずうわぁと感嘆の声が上がる。
急に明るくなった外の日差しに目がくらみそう。そこは緑まぶしい渓流に架かった橋で、橋の向こうに茶色い屋根の湯小屋が建っていた。