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湯西川温泉小旅行
*秘湯と米作り体験の旅*

4.田植え体験



 入り口あたりの泥は固かった。
 固い泥は固い泥でやっぱり苦手な感触だ。粘土の上を歩いているようだ。
 そしてすぐに膝ぐらいまでずぶっと埋まった。
 このあたりは泥水。
 やっぱり足の裏にはぐにょぐにょの感触。
 あちこちに浮島のように苗の固まりが浮いている。
 これを適当に4、5本の束に分けて、植えていくというものらしい。
 農園の係りのおじさんたちが、田園の両端に紐を渡すからそのラインに沿って植えていくようにと指示した。
 紐には等間隔で印がつけてあり、その印のところに苗を植えると綺麗に揃うようになっている。
 参加者は田園の中にずらりと一列に並び、一斉に紐の印めがけて苗を植え、その列の苗を全て植え終えると係りのおじさんが紐の位置を後ろにずらすという仕組みになっている。
 参加者の大半は親子連れ。
 子供の年齢はさまざまだけど小学生中心。
 幼稚園生のレナは小さい方で、もうほとんど股あたりまで泥に沈んでいる。
 もっと小さい子供たちはお母さんやおばあちゃんと一緒に、お兄ちゃんお姉ちゃんの植える様子を道路や畦道で見学している。
 どこの家庭でもお父さんは泥まみれになって子供と一緒に田植えしているが、お母さんの参加率は半分から1/3程度で、残りは日傘を差したりカメラを構えたりしながら、涼しい顔で畦道から応援していた。
 ちぇっ。
 私も稲刈りの時はその手で行くかな。
 用意周到にアウトドア用の椅子まで準備しているお母さんも珍しくない。
 まあ稲刈りはいいんだけど、この泥だけは勘弁してほしかった。

 いやいやそんな泣き言を言ってはいけない。
 世の中の稲作農家の方々は、みんなこんな風に泥の中で苦労されているのだ。
 いや、みんなってことは無いかもしれないが。
 フルオートメーション化の農家もあるかもしれないし。


早速カナも水田へ こうやって植えるんだよと係りの人が教えてくれる
まだこのときはレナにも笑顔が ときどきテントウムシもいる稲の苗




2-5.水田パニックへ続く


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