1.早朝の闖入者たち
ざりっざりっざりっ・・・。
何かがテントの外にいる。
テントの布一枚隔てたところで柔らかい足音がする。まるで耳元で聞こえるようだ。
ざりっざりっざりっ・・・。
キャンプ場の泊まり客は昨夜は私たちの他に二組・・・スペースが広いのでそれぞれ離れたところにテントを張っていて、朝の散歩にしてもこんなに他人のテントの側を執拗に歩き回るとは思えない。
気味が悪い。
だいいち人間の足音じゃないような気がする。固い靴の裏じゃなくてもっと柔らかい足音。
ざりっざりっ・・・。
いつまでテントの周りを回っているんだろう。
ま・・・まさか
キャンプ場管理人のおじさんが言っていた野生イノシシ!!?
とたんに「ワンワンワンッ」
鋭い犬の吠え声が響きわたった。
それも遠くじゃなくてすぐ耳元で!!

最終日 2007年10月8日(月)
パパが先にテントのファスナーを上げて外を覗いた。
私もびくびくしながら顔を出した。
トレーラーはまだしも、布きれでできているテントは野生動物に襲われたりしたらひとたまりもない。
テントの入り口から顔を出して外を覗いた私は目を疑った。
昨日私たちが出した残飯のゴミ袋に顔を突っ込むようにして、なんと巨大な犬が一匹。
さらにその周りにちょこまかと子犬が二匹走り回っているではないか。