◆◇家族でスキー◇◆
星野リゾート裏磐梯ホテル宿泊記
9.鰹節の木
滑り台はあっという間だった。
終わってみるとドキドキしたけどそんなに怖くは無かった。
全員無事滑り降りて、さあまた歩け歩け。
途中でガイドはここは自由に歩いていいとか、雪庇を見つけては上から壊しながら滑り降りていいよとか教えながら実践してくれる。
大人客3人は見ているだけだが、やっていいよと言われるとまずカナが無言のままチャレンジして、レナもそのあとからくっついていく。子供はなんでもやりたがるのが傍から見ていて可笑しい。
他にもガイドは歩きながらウサギの排泄物を拾ってこの時期は餌が少ないので消化しきるだけしきっていて残るのはセルロースのカスぐらいで臭いも無いとか、あれはウメモドキ、これは幹にV字がついているからタラの芽だとか、いろいろ教えてくれる。
ここでまた自由に歩いて良いと言われた緩い斜面の先に褐色の林の中でひときわ目立つ木が生えていた。
ピンクベージュの幹でぴらぴらとリボンのような樹皮が剥げてまとわりついているように見える。
「これはダケカンバの木で、私なんて名前を忘れるといつも鰹節の木って呼んじゃいますけど、このぴらぴらした木の皮、山歩きの人ははがしてポケットに入れます。どうしてかっていうと、いい着火剤になるんですよね。雨でも雪でもいつでもこの木の皮は乾いていてよく燃えます。触って確かめてみてください」
触ってみた。
するすると剥がせて和紙みたいな面白い手触りだった。
これが鰹節の木、もといダケカンバ。
私はダケカンバというと思いだすのが子供の頃読んだ松谷みよ子の「コッペパンはきつねいろ」。
この本、小学一年生の時のクリスマスに貰って何度も何度も読み返したなぁ。
元のゲレンデまで戻ってきたのは12時ごろ。
ちょうど歩き始めてから2時間半が過ぎていた。
ここからまたスノーシューを外してリフトで降りる。
裏磐梯スキー場のリフトは下りも乗車させてもらえる。
「何か動物が出てくるかもしれないので山の方を見ていてくださいね」とガイドは言ってくれたが、足跡しか見つけられなかった。
リフトに乗っている間に雪が激しくなってきた。
歩いている間はほぼ曇りで、時々日が差したり小雪がぱらついたりしていたが、すっかり辺りは薄暗くなり、天気予報通り午後は降雪するようだった。