8月3日(土)
どうも低気圧が南東北に停滞しているらしい。このあたり、一昨日までは三日間、真夏日だったと言うから、私たちが青森から雲を連れてきてしまったらしい。海の太陽には縁のない旅のようだ。
朝食はホテルのバイキング会場。家族四人、みんなまちまちのものを食べる。
松島のなか日は、晴れていたら石巻港から網地島へ渡ろうと思っていた。ネットの友人りひとママさんに、日本とは思えないほど綺麗だと聞いたからだ。
だが、空は重苦しい色で、海に点在する松島の影もぼんやりと煙っている。今日は近くで過ごそう。
気温も低くて海へ行くという天候ではないが、泳がなくても貝を拾ったりできるだろうから近くの海岸へ行ってみようか。車で走ればすぐ。奥松島の野蒜海水浴場。
ほら、この石段を登ったら海が見えるから…。
海は灰色。砂浜も茶色。色を失ったかのようだ。
でも大都市仙台から近く、今日は8月初めの土曜日。こんな天気に泳ぐ人はいないだろうと思っていたが、結構家族連れが海の中に入っている。子供達と海へ行くと約束していたのだろう、お父さんは大変だ。
服を濡らすとやっかいなので、一応水着に着替えさせる。
子供達はあっと言う間に浅瀬へ入っていってしまった。霧のような雨が時々降ってくるが、まるで意に介さない。砂遊びを始める。波も来るし、面白くて仕方ないようだ。
パパが、子供達は海が晴れていようと曇っていようと関係ないんだね、と言った。
始めは、一人一人、自分に世界に入って、それぞれで夢中になって遊んでいたが、二人で遊び出すとまた、もっと楽しくて仕方ないようだ。
波打ち際で寝ころんでいると、波が来て面白い。
が、カナの角度は正しいが、レナ、その向きでうつぶせになっていると、波が来たとき恐ろしいことになるぞ。
…ざっぶーーーーん。
顔から思いっきり波をかぶる。起きあがって頭をぶるぶる振って水しぶきをとばす。
懲りたかと思いきや、次の波が来る前に、また同じ角度で寝そべる。
信じられない。どうも辛いんじゃなくて楽しいらしい。
波に運ばれてきた砂も一緒にかぶって、もう全身砂まみれ。
そんなことを何回もやっていたら、上がらせたとき、鼻の穴にも耳の穴にも砂がいっぱい詰まっていた。
海の家のシャワーで軽く砂を洗い流し、いったん宿に帰る。
野蒜のあたりにも一応温泉はある。かんぽの宿松島に奥松島温泉が(立ち寄り入浴可能かどうかは判りません)。
しかし、パパが夕方か夜にでも秋保温泉に連れていってくれると言うし、子供達があまりに凄いさまだったので、真っ直ぐ宿に戻ることにした。
結局、昼食の後はレナが爆睡してしまい、念願の秋保にはついに寄らずじまいだった。残念。
宿の大浴場で砂を綺麗に落とし、さっぱりしたところで遅い昼食に出ることにした。
45号線を通り、松島の中心地を過ぎて千石線の陸前浜田の駅近く。左手に看板が出ている。「松島をひたる 田里津庵」。
あまりに門構えが立派なので、予約者以外入れなかったらどうしようと思ったが、予約が無くてもお気軽にお入り下さいとの標識に少しホッとしながら進む。
席にはすぐに案内してもらえた。土曜日だが、既にランチタイムを外した午後1時半頃だったため、すんなりと入れたのかもしれない。
凝った綺麗なつくりで、窓からは松島が一望できる。
3,500円と5,000円のコースがメインで、その他に単品がいくつか。
3,500円のコースを二人分と、単品でウニを頼んだ。
このウニが絶品。
こんなに美味しいウニは、もしかしたら初めてかも。
コースの料理もどれもとても美味しくて大満足。
ここは一見敷居が高そうに見えるが、子供連れにも配慮してくれる。頼まなくても子供用の取り皿とスプーンなどを持ってきてくれるところは大概レベルが高いが、大人のコースしか頼んでいないのに、子供用のご飯なども出してくれた。最後にはおもちゃまでくれて、子供達も大満足。
あまりに田里津庵での昼食が充実していたので、パパは、松島はこれでもう満足だと言い放った。
ここを教えてくれたのもりひとママさんで、とても感謝している。どうもありがとう。
宿へ戻る途中、車の中でレナはすぐ寝入ってしまった。海沿いの道が渋滞していたので、パノラマラインの方を通った。ここら辺にも温泉がひとつ。湯ノ原温泉。
あれがそうかな、という建物が見えたが、やはりタイミングが悪く、入る機会を逃してしまった。
部屋に戻ると、晴れてはいないが、午前中よりは空が明るく、松島もくっきり見える。レナが寝ているので、カナはパパとプールに遊びに行ってしまった。
パパが部屋で飲むつまみに磯崎港で買ってきた。
このあたりは牡蠣の養殖が盛んで(但し、旬は冬)、野蒜海岸にも巻き貝ではなく牡蠣の殻ばかり落ちていた。
そんなわけで温泉には縁のない日だった。
まあ、こんな日もあるのが子供連れ。
遊びすぎたカナは疲れて夜はすぐ寝ちゃうのだが、たっぷりお昼寝したレナはこのあと大人が寝静まった後も一人ではしゃいでいるのであった。
明日で全て終わり。
つづく