沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*
子どもたちは最初は戸惑っていたが、やり始めると次々とサンゴを選んで染めていく。
私はというと、デザインが決まらずなかなか進まない。
「お子さんはね、あまり考えないからどんどん進むんですよ」店員さんが品良く笑った。
「ちょっと見本、見てきていいですか?」
確か入り口の近くにサンゴ染めをした製品も売り物としてディスプレイされていた。あれを見てこよう。
「どうぞどうぞ」
ディスプレイはTシャツの他、ストールや子供用のワンピースなどもあった。
もちろん体験版ではなくオリジナルだから、サンゴの模様も五つとは限らずもっと沢山使ってあるものもある。
やっぱりカジュアルに決めるには、片側に集中させて、カスケードブーケのように下に流れていく形がかっこよさそうだ。
「決めました」
戻ってみると、もう子どもたちは半分ぐらい出来上がっていた。一色で塗りつぶしてみたり、内側と外側で色を変えてみたり、いろいろ工夫して作っている。とても楽しそうだ。
カナは、ひたすら斜めにサンゴを並べた。
それを見て妹のレナも真似をする。
「真似しないで!」
拒否された。
レナは仕方なく途中からランダムに変えた。
大人の目から見ると、カナの斜めラインは面白味に欠けるし、レナの方がリズムがあって良い。結果論だけど。
私は青と黄色のグラデーションが好きなので、まず手頃なサンゴをひとつセットして中央を黄色で染めた。
それから周辺にぼかしを入れて外側に青をぬるつもりだった。
ところが青を入れはじめてすぐに変だと思い手を止めた。
「あのー・・・」
店員さんが振り返る。
「これ、青じゃなくて紫みたいなんですが」
「そんなはずないわ」
店員さんは青のスティックをぽんぽんと端切れに押して、それから新しいものを持ってきた。
もう一度私は青を使ってみた。
やっぱりおかしい。青は藍よりいでて藍より青しというけど、これじゃ青でも藍でもなくて紫だ。
「そのスティックじゃなくて、インクの方が間違っているんじゃないですか?」
店員さんはそんなはずはないんだけどと言いながらもようやく染料をしみこませたスタンプ台を交換してくれた。
交換後の新しいスタンプ台を使うと、今度こそ青が出た。こうして比べてみるとよく判る。さっきのは絶対青じゃなかったって。
青くしたかった場所が紫になってしまってちょっと凹む私。
カナが一番先に完成した。
彼女は背中の部分にシーサーの顔を染めた。
にかっと歯をむき出して笑ったシーサーは頭にアカバナーをつけていた。
だからカナはアカバナーの部分だけ赤くして、中を黄色で染めた。シーサーの外側は青を重ねたので緑色っぽくなった。
それを見たパパは「パイナップルみたい」。
それからカナのサンゴ染めTシャツのシーサーは「パイナップルシーサー」と呼ばれることになった。
三枚のTシャツが完成すると、店員さんはアイロンを掛けて色を定着させ、きれいに畳んで袋に入れてくれた。
「お疲れさまでした。宜しかったらそちらでお茶を飲んでいって下さいね」
囲炉裏と茶釜のところに案内された。お茶請けはシンプルに黒糖だ。