1.名護の朝市
昨夜、寝る前にカナのガーゼを外し、薬を塗り直した。
ハブクラゲに刺された跡はもうほとんど腫れておらず、手で触っても僅かにぽこぽこと点状に盛り上がっているだけだ。
でも色は赤く痛々しい。まるでピザを切り分ける円盤状のピザカッターを何回も走らせたような赤い点線が絡み合いながら伸びている。
一番酷いのは左足の膝の内側。
膝を折ったときに内側になる部分ではなく右足と向かい合う部分。ここから膝の裏、つまり膝を折ったときに内側になる部分に向けて赤い点線が数本伸びている。
これを見るだけで、ハブクラゲの触手がカナの膝にぐるりと巻き付いたことが判る。
左足だけでなく、右足と右手の甲も痛いと言っていたが、腫れが引いてみるとこちらはそれぞれひとつだけ赤い斑点があった。たぶん触手がかすったか何かして、毒針が一本だけ当たったようだ。
被害のほとんどは左足の膝付近に集中しているようだった。
不幸中の幸いは、やはり毒がほとんど入らなかったことだろう。
病院で薬を塗る前から痛みは止まっていたようだが、もう昨夜から何度聞いても、カナは「もう全然痛くない。痒くもない」と言うばかりだった。
三日目 2007年7月22日(日) |
今日は日曜日。
パパが朝市に行こうと言いだした。
一昨年見つけて、去年も行った。
名護の川沿いに日曜日の朝、フリーマーケットなどの市が立つ。
「場所、どこだっけ。川沿いなのは覚えているけど」
「近くに教会があったよ。あと山羊料理の店。行ってみれば判るんじゃない?」
適当に車を走らせたら着いた。
歩道の所にぽっきりと根元から折れた道路標識。
「・・・まさか、先日の台風で折れたわけじゃないよね?」
でもその近くにはやっぱりばっきり根元から折れた街路樹の跡。ぎざぎざの折れ口が生々しい。これは最近折れたばかりだ。