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沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*

7.もとぶ野毛病院










 海に近い野毛病院は思ったより大きな建物だった。
 平屋建てに見えたが、よく見たら二階建てだった。
 カナも私も着替えるような余裕は無かったので、水着にラッシュガード姿だった。カナには一応ゴムの入ったバスタオルを羽織らせた。

 まだ水着が乾ききっていないので、入り口を入ると冷房が効きすぎているように感じた。
 受付の前には長椅子がいくつも並んでいて、既に診察が終わって計算や処方箋待ちをしている人たちなのか、年輩の患者さんが何人も座っていた。
 真っ直ぐ受付に行き、クラゲに刺された旨伝えると、はきはきした感じの女性の看護士が現れて、電話で事情は聞いていますと直ぐに診察室に入れてくれた。

 診察室で看護士は刺されたときの状況を聞いてきた。私はさっき見たことをそのまま伝えた。
 「酢で流しましたか?」
 「青く見えたのでカツオノエボシだったらどうしようかと思って・・・」
 「子供が泳げるような浅いところにいるのはほとんどハブクラゲ。ハブクラゲはカツオノエボシより怖いのよ」
 彼女はてきぱきと酢を脱脂綿に含ませるとそれをカナの足に押し当てた。
 酢の入ったペットボトルのような入れ物にはあまり上手くない字でハブクラゲと書かれていた。
 もっと惜しみなく酢を使うのかと思ったら拍子抜けするくらいちょっとだった。たぶんもう誰が見ても触手は剥がれていたからだと思うが。

 それからカナの体にはまだ砂がついていたので、裏口から外に出て、ホースで少し砂を流すよう指示された。
 カナの刺された跡を見ると、さっきまでは蚊に刺されたように点線状に盛り上がっていたところが、今はライン状に全て繋がって、ミミズ腫れになっていた。一本ではなく、何本も触手がからみついたのがよく判る。改めてゾッとした。


ハブクラゲの写真もお見せしましょう・・・中央少し上に写っている半透明なのがそうです。
・・・実は正確にはこれはハブクラゲではなく近種のキロネックスですが、たぶんハブクラゲの姿形はこんな感じです。

この写真は今年の5月にオーストラリアのケアンズ近郊ダンク島の桟橋で私が撮影しました。もちろんこのとき私は、まさか二ヶ月後に本物のハブクラゲに襲われるとは想像だにしませんでしたとも。


 もう一度診察室に入ると、看護士はカナのミミズ腫れを見て、やっぱりハブクラゲに間違いないと断定した。
 触手の痕が一本ではなく何本も走っているところもハブクラゲの特徴なのだそうだ。
 刺された場所の波打ち際からの距離や深さなども確認される。そしてそれらをカルテに書き込んでいく。
 「あなたがハブクラゲの被害にあったことを沖縄県福祉保健部(だったと思う)に連絡してもいいですか?」
 「構いません」
 これで私たちの件は沖縄県の海の危険生物公式被害データの1部としてカウントされたわけか。
 「もうひとつ質問させてもらうけど、海の危険生物の注意を喚起するポスターを見たことがある?」
 ・・・海の危険生物の注意を喚起するハンドブックなら那覇空港でもらってきたし、同様の内容のネット情報などはさんざん見てきたけど、ポスターは覚えがない。
 「ポスターは見ていないと思います」
 「ポスターは、見ていない・・・と」看護士はそれもメモした。このことも福祉保健部に伝えなくてはならないらしい。見ていない人が多いというデータが集まれば、もっと啓蒙活動をしなくては、とかそういうことになるんだろう。
 「ポスターはこれよ、よく見ていってね」
 看護士は私たちを廊下に出して、そこに張り出してあるポスターを見せた。



2-8ハブクラゲとSafe Seaへ続く


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