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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*
16.闘牛の前座
闘牛場はごくごく小さいコロセウム型の会場だ。
すり鉢の底に当たる中央は、牛がぶつかっても大丈夫なように囲いがある。
回りにぐるりと階段状の観客席があり、日陰を中心にまばらに観客が座っている。
観客席の外側にヤキソバやポテトを売る屋台がひとつだけ出ていた。
「綿あめとか売ってないの?」とカナが聞いてきた。
残念だけど無いみたいだね。
だんだん日が陰ってきた。
木々の影が長く伸びている。
少し遅れて始まった前夜祭は、民謡ショーからスタートだった。
地元のセミプロらしい男性が三線を爪弾きながらテンポよく歌う。
ひとつ歌い終わったところで会場に声を掛けた。
「内地からいらしたお客さんはいますかー?」
思わず手を挙げる私たち一家。
他にはちらほらと数えるほど。
私たちの斜め後ろに座っていた派手な女性も手を挙げた。うーんやっぱりこの人、旅行者だったか。眉山をくっきり描いているので絶対ウチナーンチュじゃないと思っていた。
「それでは内地からのお客さんを歓迎する歌を歌います」
歌詞はほとんど聞き取れなかったが、さびの部分でめんそーれめんそーれと歌っているのが判る。
いつの間にか観客は手拍子でリズムを取っていた。
そして、やおら一人の男性が柵を乗り越えて闘牛場の中に入った。
頭にペットボトルを乗せてお囃子に併せて即興で踊り出す。手首を不思議な角度に曲げて踊る沖縄のカチャーシーだ。ペットボトルが落ちないのが不思議。練習してるんだろうな。
みのもんたにちょっと似ているおじさんはみんなの拍手にポーズを取って、また観客席に戻っていった。
6-17闘牛は沖縄のディープな世界
へ続く
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