海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*
じりじりと暑くなってきた。
亜熱帯植物の植えられた園内は、建物や機械こそ古びているが、植物の方は綺麗に手入れされている。
途中で長靴にエプロン姿の従業員のおばさんに会った。
忙しく植物の世話をしているところだった。
「こんにちは」
「こんにちは」
おばさんはカナとレナを見て、後ろの木を指さした。
「ちょうど今、花が沢山ついているから好きなように摘んでいっていいわよ」
それは沖縄のあちこちで見かける赤いハイビスカスの一種だった。
「うわぁ綺麗」
カナは大喜びでひとつ摘んでもらって髪に挿した。
「レナも」
レナはなかなかうまく挿せない。
「茎の処が長すぎるからだよ、もっと短く切って」
「はいはい」
「今度は短か過ぎだよ、これじゃ挿せないよ」
ちょうど髪ゴムを持っていたのでそれで髪をひとつまみ結い、そこに挿して落ち着いた。
「これはね、沖縄ではアカバナーと言うの。こうして揉んでね・・・」おばさんは目の前で赤い花びらをくちゃくちゃと揉み始めた。
「薬草なのよ。昔は目やにが出たときや鼻がつまったときに使ったの。いろいろ役に立つ花なのよ」
さらにこの奥に果樹園があって実が生っているから食べられるわよと教えてくれた。