11.灼熱スタンプラリー
ところが
「スタンプ足りないよ」とカナ。
見るとスタンプラリーのスタンプはまだ半分ほどしか押されていない。
よく見ると「お急ぎコース30分」「のんびりコース60分」「じっくりコース90分」と色分けされており、お急ぎコース以外は有料エリアに入らないと完了しないようになっていた。
あんなに車から降りるときは行きたくないとかぶつくさ言っていたのに、スタンプを押すという大人から見ればどうでも良いような目的ができると、すっかり猪突猛進。不平も言わずに坂道をずんずん登っていたっけ。
「いいんだよ、このお急ぎコースならこっちの道で」
パパは帰り道とおぼしきショートカットコースへ子どもたちを誘おうとする。
するとすぐに木曳門という小さな門があり出口になっていた。
「まだお急ぎコースにも足りないよ」とカナ。
確かに「西のアザナ」と「京の内」にスタンプが押されていない。
木曳門の門番の優しそうなおじさんが、このスタンプならあの辺だよと教えてくれたので、とりあえずお急ぎコースだけでもコンプリートしようと引き返すことにした。
系図座・用物座と呼ばれる建物が無料休憩室になっていて冷房も効いている。ここは元々士族の家系図を管理する系図座と、資材置き場である用物座と呼ばれる建物が建っていた場所だ。
ここで一休み。自販機などもあるのでイオン飲料を買って子どもたちに渡した。
受付のおばさんが、お子さんたちにと折り紙の船を渡してくれた。沖縄の小舟サバニのようだ。
ひんやりした室内にいると、如何に外が暑かったか判る。
さあ、クールダウンしたところで、残り二ヶ所、頑張って制覇してしまおうか。
西のアザナはすぐに判った。
ニシのアザナではなく、イリのアザナと読む。
沖縄では太陽が東から上がるので東を「アガリ」、西に入るので西を「イリ」と呼ぶ。私たちが泊まる名護のアコモも東江という地域にあり、「アガリエ」と読む。
沖縄の言葉は聞いただけでは何のことやら判らないものも多いが、よく調べてみると内地の言葉と語源を同じくする物も多い。
去年お昼を食べた名護の沖縄そば屋の名も「にぬふぁぶし」と言って、何のこっちゃと思って調べたらこれは「北極星」という意味だった。「ぶし」が「星」だというところまではすぐに判ったが、「にぬふぁ」が何を意味するかこのときはさっぱり判らなかったが、ある日、にぬふぁが漢字で書かれているのを見てようやく納得。「子ぬ方」。つまり方角を干支で表す「子(ね)の方 = 北」で「にぬふぁ」だ。なるほど。
西のアザナからは東シナ海が見える。
首里城一の絶景だと言うが、スタンプ台で引き返してしまったので、城壁の端まで行っていない。