10.ビタローに舌鼓
テーブル席と座敷席があったので、座敷の方に座らせてもらった。
半端な時間だけどお客さんがちらほらと入っている。
昨日、古宇利島でウニを食べ損ねてしまったから、ウニイクラ丼と・・・それから魚の煮付け。
「煮付けは何の魚があるんですか?」とパパが訪ねると、
「マダイと、○△▽と、▽○×○」
マダイ以外は聞き取れなかった。この辺りで捕れる熱帯魚には沖縄特有の呼び名がついているので一回聞いただけではよく判らない。
「一番美味しいのはどれですか?」
「それは、▽○×○かしら」
「すいません、もう一度その魚の名前を教えてもらえますか?」
「ビタローよ」
「ビタローですか。じゃ、そのビタローの煮付けをお願いします」
ビタローなんて面白い名前。
キタローみたいだな、とパパが言った。
東京に帰るまで覚えている自信がなかったので、割り箸の入っていた袋に「ビタロー」とメモした。
帰りがけに店のレジのところに沖縄の魚一覧が描かれたポスターが貼ってあったので、ビタローを探したら、ビタロー(ハナフエダイ)と載っていた。