1.シュノーケルできるビーチを探せ
この日沖縄に向けて、いやいや正確には石垣島に向けて進行中だったタリムこと台風13号は、最終的には翌31日に八重山諸島を暴風域に巻き込み、石垣島で風速51メートルを記録した。
石垣島に遊びに来ていたパパの同僚Aさんとその家族は、31日の飛行機で東京に戻るはずだったが、当然戻れず予定外の一泊を余儀なくされたという。
飛行機の欠航が決まると、台風料金と称してホテルもレストランも格安になるというのは、後からAさんに教えてもらった。
石垣島ではなく沖縄本島に泊まっていて、31日ではなく30日の夜に帰るはずだった我が家はどうなったか。
思い出してみようと思う。
最終日 2005年8月30日(火)
冷蔵庫の中がほとんど空だったので、朝ご飯はお弁当を買ってきた。
パパが近くに気になる弁当屋があると言って車で買いに行ってくれた。
ああ、覚えてる。車でいつも前を通るから気になるよね。
買って帰ってきたのはおにぎり四つと牛丼のような日替わり弁当。
「あの弁当屋には仕事に行く前の肉体労働者が買いに来るんだ。駐車場がやけに混んでいるから何でだろうと思ったら、みんな昼の分の弁当と、朝食代わりの汁物を買って、汁物は車の中で食べてから出かけるんだよ。だから駐車場がいつまでも空かないんだ」
ふーん。そんな暗黙のルールがあるのね。
昨夜パパがカナに聞いた。
「明日は沖縄で遊ぶ最後の日なんだけど、何がしたい?」
カナは言った。
「海でお魚が見たい」