7.荒々しい断崖とウミガメ
遊歩道はまだ続いている。
辺戸岬の先端は、ごつごつとした奇岩の絶壁で、木の柵から下を見下ろすことが出来る。
正面に遠く青い与論島。
はっきりと見える。
そして風が強く、足下の断崖には白い波飛沫が砕けている。
海は荒々しいが透明だ。
水底の岩や珊瑚まで見えそうだ。
「あっ、ウミガメだ」
パパがカメを見つけた。
崖っぷちから海面まではかなり距離があるが、そこにいたみんながカメを見つけることができた。
紺碧の波間に、ときどき茶色い甲羅がぷかりと浮いてくるのだ。
泳いでいる手足や、顔もはっきりと判る。
しばらく海面で呼吸をすると、また深く潜っていく。
じっと見ていると何度も浮いたり潜ったりしているのが見える。
二匹はいるようだ。もっとかもしれない。