10.山原そば にぬふぁぶし
12時過ぎ。
いったんマンションに戻る。
大人はお腹が空いたが、いつもより朝食がのんびりだった上に、さっき山盛りフルーツを平らげたばかりの子供たちはお昼は食べたくないと言う。
「子供たちにはお留守番しててもらって、大人だけで食べに行かない?」と私。
「大丈夫かなぁ」とパパは心配性。
でも結局、火や刃物のあるキッチンには近づかない、誰が来てもドアを開けない、部屋から出ない、喧嘩をしたり大声を出したりしない、と、いくつかの約束をさせた後で留守番を任せることにした。
向かったお店は「山原そば にぬふぁぶし」と言う。
にぬふぁぶしとは沖縄の言葉で北極星。
マンションから徒歩4、5分のところに沖縄系ファミリーレストランA&Wがあるが、その敷地内に今月はじめオープンしたばかりの新しいそば屋だ。
何で知っているのかというと、マンション近くの塀に新規オープンの広告が貼ってあって、通る度に気になっていたからだ。
しかもこのA&Wが経営しているらしい。
どうして本場アメリカ生まれのファミレスがそば屋を?
店内は綺麗で、立ち食いそば屋とファミリーレストランを足して二で割ったような感じ。
券売機で食券を買って注文するシステム。
私は三枚肉そば、パパは山原地鶏そばを頼んだ。
沖縄そばは琉球村のちゃんぷるー市場で食べたから2度目になる。
私はそばと言えば蕎麦粉で作ったものと思っていたので、初めて食べたときはあの触感にびっくりした。
うどんとは違うけど、蕎麦よりはうどんに近い。
実際、沖縄そばの原料は小麦粉100パーセントだ。
「蕎麦粉じゃない蕎麦なんてあるんだ」と吃驚したように言う私に向かって、パパは「そばは蕎麦粉のそばとは限らないだろう、中華そばっていうのもあるじゃないか」と言った。
なお、全国生めん類公正取引規約によると、蕎麦粉が30パーセント以上入っていないと、そばの定義から外れるためそばという名称を使ってはならないとされているらしい。
にも関わらず、沖縄そばをそばと呼ぶことが出来るのは、すったもんだの末、特殊名称として登録が認可されたものによる。
(参考
沖縄そば辞典)