3.楽園の海の小さな響き
朝市の後はマンションに戻り朝食を食べて、それからゆっくり21世紀の森ビーチに行った。
今日の目的はビーチコーミング。
一昨日カナがパパと二人で行って、綺麗な貝が落ちている場所を見つけたからレナに見せたいと言ったからだ。
パパは朝から2度目になる。
それにしてもどうして、このビーチに来るときは、こうも完璧な青空なのだろう。
緑の芝生の向こうに、コーラルグリーンとセルリアンブルーの南国の水平線。そしてその向こうは澄み切った紺碧の空。
打ち上げられた白い珊瑚が骨のように散らばっている砂浜。
大物の貝は無いか、みんなで足下を見つめながら歩く。
岩場には緑色の蟹がいた。
ここは名護の町中とは思えないほど水が澄んでいる。
カナをトイレに連れていき、戻ってくるとパパが岩場の奥のテトラポットの方で呼んでいた。
何かと思って足場の悪い岩を伝って近寄ると、何かパパの指さした方で跳ねた。
ぬれた岩の隙間だ。
「美ら海水族館にいたトビハゼだよ」
よく見ると茶色の小さな魚が岩の上に張り付いていて、人が近づくとジャンプして海中に逃げる。
「さっきこの岩まで来たら、いっせいに何かが水に飛び込んだから吃驚した」
魚というと水の中という先入観があるが、この魚たちは岩の上を器用に這っているので何だかとっても不思議だ。