3.ニューウィングみんな
8時15分前。
そろそろ戻っておいでとパパが呼んだ。
港に白い高速船が横付けになっている。
水納島へ行く「ニューウィングみんな」だ。
一般客はそんなに多くないが、いつの間にか観光バスがこの鄙びた港に何台か着いていて、ツアー客とおぼしい集団がぞろぞろと乗り込む。
ニューウィングみんなは、たった15分の船旅用とは思えないほどしっかりした内装だった。
朝ご飯を食べていないレナのためにおにぎりを出したが「いらない」。
おにぎりはカナが食べ、レナはお煎餅を少しかじった。
高速船は本部大橋の下をくぐり、瀬底島の横を通ってあっと言う間に水納島に到着した。
どうしても記憶がゴールデンウィークに行ったばかりの
ダンク島と被る。
あの日の天候が荒れた暗いものだったのに対し、今日の水納島は何て太陽に恵まれているんだろう。