1.今日こそ水納島
そこには信じられないほど透明な海が広がっていた。
空は青く海は水色で、砂浜は真っ白だった。
まるで足を入れて光の波紋を広げてしまうことすらもったいないように思えた。
五日目 2005年8月27日(土)
この日の朝、レナはきっと目が覚めたら既に港にいたと思う。
昨夜眠ってから朝までぷっつり記憶が途切れているとしたら、あれ?と思ったことだろう。
クロワッサン・アイランドと呼ばれる水納島は、本部半島沖に伊江島とともに浮かぶ周囲4キロほどの小さな島だ。
渡久地港から高速船で15分。
50人ほどの島民が暮らし、島には郵便ポストは無いのに生徒数より教師数の方が多いという小中学校はある。
本当なら昨日乗ろうと画策していた島行きの高速船は、夏休み期間中は一日12便出ている。
晴れていても昼頃には雲が出てくる可能性が高いため、できるだけ朝早い便にしようと考えていた。
8時45分渡久地発の2便が良さそうだ。
そう思って昨日も8時には名護を出発していた。