2.マイレージとバースディ割
種明かしはマイレージだった。
今年はじめ、パパは久しぶりの海外出張で一人分の国内往復マイルを溜めてきた。
ついでに夏休みと言えば、私の誕生日でありパパの誕生日でもあり、二人とも日を選べばバースディ割が使える。
8月は繁忙期なので8月5日生まれの私がバースディ割を使える日は限られている。具体的には8月23日から。
8月23日の予約が解禁になる日はパパも仕事を休んで電話、携帯、ネットの三つで一斉に予約攻撃を仕掛けたが、電話はまったく繋がらず、ネットでもようやく取れたのは羽田発那覇行き最終便の夜8時発だけだった。
そしてその時間帯はちょうどマイレージの空きはもう埋まっていた。
というわけで、マイレージで始めた沖縄計画だったが、結果的にはマイレージは使えずバースディ割のみを利用して航空券を獲得することになった。
次にアコモデーション。
沖縄には前に最高の思い出をくれたカヌチャの他にもブセナとか万座とかアリビラとかルネッサンスリゾートとか名だたるリゾートホテルが西海岸のあたりに林立しているが、どう考えてもそんなところに泊まる予算は無い。
また那覇市内には格安宿がひしめいているが、子連れでドミトリーは当然無理だし、個室でもキッチンがなければ外食代がかかる上にできれば町じゃなくて海沿いのリゾートっぽい立地が望ましい。
貸別荘みたいなところは夏休みはトップシーズンと、他の季節に比べて2.5倍の値段を付けている強気なところもあり、なかなかこれという場所が見つからなかった。
まあそもそも条件がかなり無茶なのだが。
ようやく見つけたのはゴルフで知られるベルビューホテルのウィークリーマンションだった。
ベルビューホテルというのは沖縄本島の北部、西へ突き出した半島、本部町にあるホテルだ。美ら海水族館のある海洋博公園や、熱帯魚の泳ぐ綺麗なビーチで有名な橋で繋がった瀬底島などが近くにある。
パパがメールでパンフレットがあったら送ってほしいと伝えると、パンフレットは無いのでと何故か写真を貼り付けたエクセルの添付ファイルが送信されてきた。
如何にもたった今、部屋に行って撮影してきましたと言わんばかりのどんよりどよどよの曇り空が窓から見えていた。バルコニーから海一望の景色が泣いている。
この素人っぽいながら、妙に真面目で好感の持てるやりとりに惹かれるものもあり、予算も景観もほぼ希望通りだったことからここに決めることにした。
ウィークリーマンションの名前はウィンベル沖縄名護コーラルビュー。