桟橋を離れて緑のモーターボートが水面を走ると、顔にばしばしと雪がぶつかってきた。目も開けられないほど雪が降っている。
お兄さん曰く、この時期にこんなに雪が降るのは珍しいことなのだそうだ。
それにしても寒い。
湖面は猛烈に寒い。
たぶんワカサギ釣りも事前に予約とかして朝から他の人と一緒に出発していたらこんなことにはならなかったんだろう。
でもこれもちょっと面白い体験かも。
お兄さんが行き先はプリンスホテルのワンドだった場所だと教えてくれた。
ワンドって何だろうと思いながら私はポートに乗っていた。
湖に突き出した岬をぐるりと回って進むと、屋形船がぽつりぽつりと見え始めた。
これが本当に水面に浮かぶおうち。
モデルハウスみたいで笑える。
いろいろなタイプの家があるんだ。ドーム型とか三角屋根とか。
オーストラリアのグレートバリアリーフのポンツーン(筏)を思い出した。
レイクサイドホテルの屋形船はドーム型だった。
モーターボートはその屋形船のドアのついた側に接着すると、待ち構えていたフード姿の男性が私たちが降りるのを手伝ってくれた。