3.百武彗星、そして那須の思い出
那須は実は何度も来たことがある。
今みたいに温泉を回るようになる前で、もっと正確に言うと、こんな風に温泉が好きになるきっかけのひとつが那須だったとも言える。
だいたい仲間とわいわい貸別荘というのが定番だった。
きっかけの温泉は大丸温泉旅館。
二回、立ち寄り入浴したことがある。
川をそのまませき止めた露天風呂は、上流が女性専用になっていて、下流に大きな混浴露天風呂がある。
当時は混浴なんて冗談じゃないと、女性専用にしか入らなかった。
一番最後に那須に来たのはカナを妊娠しているとき。
このときは温泉に入ってない。
おりしも百武彗星が近づいているときで、妊婦でありながら夜を徹して天体観測をした。
関東近郊でもできるだけ灯りの少ない暗い夜空を探して、那須の北温泉までやってきた。
別に泊まるわけじゃなくて、駐車場に望遠鏡を設置しようとしたのだが、常夜灯の明かりが眩しく、場所を移した。
結局、マウントジーンズスキー場の駐車場で観測した。
あの星空は忘れない。
子供たちを連れて奥日光などには何度か行っているのに、そういえば那須にはぷっつりと行かなくなっていた。
別にこれぞという理由があったわけではないのだけれど。
湯本までの道のりでもちらほらと色づいた木が見えていたので、紅葉が始まっているんだなと思っていたが、ボルケーノハイウェイを登り始めると、辺りの木は残らず黄色く色づいていた。
赤みは少ない。
パパが「黄葉は地味だよな。だからみんな紅葉を植えたがるんだよな」
そういえば群馬の榛名湖周辺など、せっせと紅葉の苗を道の脇に植えていた。いずれ紅葉の名所にしようというなかなか気の長いプロジェクトだったね。
空は灰色に曇っているが、ガスは出てないし雨も降っていないので、去年の草津旅行よりは何倍もマシだった。
あのとき白根山をドライブして、あまりに何も見えなくて呆れたことを思い出した。
今日の那須岳はすっかり色づいていて、今日が快晴だったらどんなにか綺麗だろうと溜息が出る。