◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記
25.岩屋山古墳と許世都比古命神社
時刻はあと8分ほどで3時。
欽明天皇陵からゴール地点である飛鳥駅前までは5分も掛からないだろう。
google mapでは岩屋山古墳という場所を見つけた。
規模も小さくガイドブックなどには載っていなかったが、線路を越えてすぐのようだし、どうも自由に古墳の中に入れるようだ。行ってみようか。
国道に出て、駅のすぐ手前の道を右に入る。
岩屋山古墳までは本当にすぐだった。
住宅街の普通の場所に芝生の小山があり、史跡岩屋山古墳と刻まれた石碑と石段があって、石段の上にぽっかりと古墳の石室が口を開けていた。
ちょうどさっき見た石舞台古墳をごく小さくして、石室の上に土を乗せて丘にしたような感じだ。丘の上には桜の木がありこれまた満開だ。
誰もおらず本当に自由に出入りできる。
石室を構成している岩は石舞台古墳とは違ってきっちりと計って機械で削ったように綺麗な正方形のトンネルを作っている。
中に入ると隙間が無い分真っ暗で、それほど奥行きがあるわけではないがじめじめと足元がぬかるんでいた。
一番奥は天上が高くなった分少し広くなっている。
本当に何もない空っぽのスペースだが、本物の古墳の中だと思うと感激する。
さらに先へ進めば牽午子塚古墳や真弓鑵子塚古墳といった史跡もあるようだが、飛鳥駅のすぐ裏手にある岩屋山古墳と違ってそれなりに距離がありそうだったので諦めた。
このほかにあと10分程度で見て回れそうなところというと・・・
「観光客が行くような場所かわからないけど、地図には許世都比古命神社というところが近くにある。行ってみる?」
レナはどっちでもという顔をしたが、カナは即座に行くと言った。
道は坂だったが判りやすかった。
しかし神社の石段の前にトラックが横付けになっていて入れない。
中も孤輪車で作業するためかラックを刻んだ板を立てかけて一時的にバリアフリー構造にして作業着姿の男性が荷物を持って行き来していて、何となく通りすがりの観光客がお参りに入る雰囲気じゃなかった。
石段から鳥居辺りの桜は本当に見事で溜息が出るほどだったので、もしかしたら桜のお祭りでも準備していたのかもしれない。
それで結局許世都比古命神社は入り口の鳥居を見ただけで、飛鳥駅まで戻ってきた。
自転車を返すのはあっという間。コインロッカーに入れた荷物を出して、次に向かうのは吉野の山だ。