14.ミニ出島
おじさんはそのまま真っ直ぐ東側ゲートの料金所を出てしまった。
なんで出島の外に?と思ったら、おじさんは出島の外側の道路に立って足元を指差した。
「道路のアスファルトがここから色が違ってるでしょ」
あっ、ホントだ。道路が中央分離帯でもないのにほぼ中央からグレーとマーブル模様に分けられている。
「この色が変わっている部分からこっちが当時の出島だった部分なんだよ」
へえー。
いくら長崎の地図を眺めても、あの扇形をした出島の姿は見つけられなかったわけで、それはもう出島がすっかり埋め立てられてしまったからなのだが、今も過去における出島の形は道路上にはっきりと記されているのだ。
明治16年から8年間掛けて出島周辺の埋め立て工事が行われ、さらに明治30年から7年間掛けて中島川の氾濫防止のために川幅を広げたため逆に出島の一部が水没し今に至っている。
その昔の出島の形が道路に残されていることをおしえてくれたガイドのおじさんは、再び東側ゲートから出島の中に入った。
本来は料金所を通るのだから、せめてチケットの半券を見せるなど必要なのかもしれないが、ガイドのオレンジジャンパーを着たおじさんと一緒だからか、私たちもそのまま通行できた。