10.長崎と言えば出島
長崎と言えば出島。
最初、私とカナだけで今回の計画を練っていた時、そう言いあった。
長崎と言えば原爆を落とされた地、長崎と言えば隠れキリシタン、長崎と言えばちゃんぽんに皿うどん・・・いろいろあるだろうが、私たちにとって長崎と聞いて一番最初に思い出すのが出島だったのだ。
出島は鎖国時代に江戸幕府が設けたオランダとの貿易拠点。
その名の通り、一本の橋で九州本土と繋がった扇型の小さな島。
だから私とカナは長崎行きを決めた時に、まずガイドブックの長崎県の地図で見知った扇型の小島を真剣に探したのだ。
出島の前にオランダ商館があった平戸は平戸島-平戸市としてすぐに見つかったものの、どんなに捜しても扇型の島が無い。
無知だななんて笑わないでほしい。
まさか出島は既にすっかり埋め立てられてその形をいっさい留めずただの陸地になっていたとか、場所は長崎県の中でも最も中心地である長崎市の栄えている辺りだとか、まったく知らなかったのだ。
やっと出島のなれの果てを見つけたのは、二日目の観光を長崎市内に絞って、路面電車の路線図を見ていた時だった。
出島という電停があった。
なんだ、あの出島ってここ!?
地図を見ると、出島の辺りには「ミニ出島」とか「デジマノキ」なるものがあるらしい。
でもその他には何があるのやら。
なんだか歴史の教科書で学んだあの出島の現在の姿はなかなか思い浮かべることができなかった。