9.お友達ができたよ
寝床の準備が整ったら再び湖際へ。
下部温泉から出た後も、服ではなく水着を着ると言って聞かなかった二人だ、もうあっという間に走っていってしまう。
午前中は風も波も無く、澄み渡っていた湖だが、雲が増えて今は波も高い。のぞき込むと水は濁り中の魚などまったく見えそうにない。
カナが岩の上に立って人魚を気取っている。
レナは怖がって岸で見ているだけ。
いつの間にか後ろに二人、見知らぬ子供たちが立っていた。カナより大きな女の子と、カナと同じくらいの男の子だ。
「ねぇ、あの子の名前、何て言うの?」
女の子が聞いた。
「カナって言うのよ」
どうも姉弟は、隣のテントの子供たちで、カナたちと遊びたいらしい。
カナが岩の上から降りてこないのでここは諦めて行ってしまった。
たけどその後すぐ、カナたちが湖から上がって林の方へ松ぼっくりを探しに行ったらすかさず後を追っていった。そしてすぐに仲良くなったみたい。わいわいと四人で袋いっぱいの松ぼっくりを拾って降りてきたよ。
二人とも背が高かったのでカナとレナより大きいのかと思ったら、お姉ちゃんは小学二年生(カナよりひとつ上なだけ)、弟は幼稚園年中(レナと同い年)だった。うーん、やっぱりうちの子たちって小柄なのね。