◇◆がんばれ新潟◆◇
四万温泉と雪国古民家の旅
藁苞をひとしきり煮ると若井さんはそれを鍋から取り出し、今度は大豆を詰める作業に移った。
二人ひと組で詰めていく方が効率が良い。一人が器になる藁苞を広げて、もう一人が匙で大豆を乗せていく。サトイラズの大豆は大粒で、子供たちが普段食べている三つひとパックの小粒納豆とは見かけがまるで違う。
最初のうちは恐る恐る詰めていたが、このままでは大豆が余ってしまうと若井さんに言われて後半は子どもたちはむぎゅーっと溢れんばかりに詰めていた。
一粒残らず藁苞に大豆を詰めたら、後は藁苞をさっき折り目をつけたところで二つ折りにし、輪ゴムでパチンと留める。
それを納豆菌が呼吸できるよう何箇所か穴をあけたビニールに入れ、口のところを若井さんが熱ホッチキスのような機械で止めた。
これで作業はおしまい。
完成した袋を小型金庫のような保温機に仕舞い、後は24時間待つばかり。
「24時間経たなくてもできると思いますが、24時間待てばじっくり大豆の中まで納豆菌が入りますので。保温機を開けてみて、白っぽくなっていたら食べられますよ」とのこと。
保温機は開けてもいいけど頻繁に開けてはだめですよと念を押して、若井さんは帰って行った。
・・・若井さんが帰ってしまってから気付いた。
「そ、そうだ、湯たんぽはちゃんとあるかしら」
雪国の古民家の夜は猛烈に寒い。
何しろ近代建築と違って家自体が隙間だらけだから。
しかし湯たんぽがあればとても快適なのだ。みらいに泊まり出してから湯たんぽに目覚めてしまった冷え症の私は今、自宅でも毎晩電子レンジでチンするゆたぽんを愛用している。
それはともかく湯たんぽなのだ。
これがないことには古民家の夜は越せない。
前にも一度湯たんぽが見つからなかったことがあって、その時はyuko_nekoさん一家と一緒だったのだが、頼んで若井さんに届けてもらった。
今回もよもや?