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がんばれ新潟 *古民家で過ごす夏休み*

1.雨音の聞こえる朝



最終日 2005年7月25日(月)


 朝も雨音は聞こえていた。
 屋根にあたり跳ね返る雨音は意外に大きい。
 寝過ごしたかと思ったが、時計を見たらまだ7時前だった。

 二階の窓から蓬平の集落を見下ろすと、白く霞んで見えた。
 山の間に雲が降りている。
 この三日間、新潟は晴れるんじゃなかったのかな。
 おかしいな。今日は一日雨なんだろうか。
 元々今回の旅行は、帰宅したら翌日にレナの合宿保育を控えていたため、最終日すなわち今日はどこにも寄らず早めに帰ることにしていた。
 ところが昨日になって、台風がどうも明日、東京近郊を直撃する可能性がとても高いということを知り、今朝には、どうせレナの合宿保育は中止になるだろうという予測を前提に、のんびり遊びながら帰ってもいいやと私たちの気持ちは変わっていた。


今朝は蓬平の集落にも雲が降りてきている 一号館の二階の窓から


 「洗面所に大きな竈馬がいるよ」と私。
 「なに? かまどうまって?」とカナ。
 「千とちひろの神隠しに出てきたかまじいだよ」
 「かまじい?」
 見に行って、「きゃー」
 あの竈馬は昨夜からいた。
 洗面台に落っこちて、つるつるしたホーローから上れなくなったらしい。
 「なにこれー」
 だから、竈馬だって。
 「パパ、取ってー」
 「あー、掴んだら足が取れちゃったー」
 おいおい。






3-2.三日間は短いへ続く


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