◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
人の流れについて進んでいくと、いつの間にか八坂神社を出て円山公園に入っていたようだ。円山公園は八坂神社の東に隣接している。
暗くてどこから円山公園だったのかよく判らなかったが、屋台に目を取られて歩いていたら、いきなり暗闇からそれが現れた。
巨大な腕を四方に伸ばす枝垂桜。
ライトアップされて、妖しくも神々しくも感じられるその姿。
雨を忘れて思わず見上げる。
この桜は凄い。
ざっと一陣の風が吹いてさぁっと花びらが散った。
その幾百の花びらもまた表に裏に光を浴びて夜の闇に溶けるように消えていく。
清水寺やねねの道と違って、本当にこの枝垂桜が、この一本の枝垂れ桜だけが主役としてライトアップされている円山公園だったが、これだけを見に来る価値のある景色だった。
と・・・あれ?
雨でぬれてしまったカメラのレンズを拭こうと思ってカバンに手を入れたらハンカチが無い。
撮影の度にぼやけてきたら拭いての繰り返しだったからどこかで落としたらしい。
「レナが拾ってくるよ」と次女が言う。さっきまであまり元気がなさそうだったのに桜を見たらずいぶん気分が変わったらしい。
結局カナも一緒に行ってしばらくしたら拾って戻ってきてくれた。
もう諦めかけていたので嬉しかった。
「ありがとう」