◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
三重塔の横を通ってさらに登っていくと、やがて本堂に出る。
ここで私はひとつ大きな失敗をしてしまった。
カメラの設定を薄暗くても撮れるISO800と自動を適宜切り替えながら撮影していたのだが、操作自体を暗い中で行っているので、どうも普段触らない設定を気づかないうちにいじってしまったようで、撮影画像サイズが小さくなってしまったのだ。
当然切り替わったという表示は液晶に出たと思うのだが、一定時間が経過するとそれは消えるし、液晶は撮影時にしか見ないので気が付かなかった。
いつまで気が付かなかったかというと、翌日の夕方までだ。
だから今から約24時間分の写真は、全てサイズが小さくなってしまっている。
幸いなことにウェブサイトにアップするには不自由ないサイズなのだが、それにしてもしばらくはショックから立ち直れなかった。
こうして書いてみるとこの日は失敗ばかりしている。
清水寺の中心となる本堂は清水の舞台のある建物だ。
重要文化財の轟門から入って通路を進んだところに建っている。
この通路から南を見るとほのかに木々がライトアップされた谷があり、その向こうにもう一つ小山があって中腹に朱塗りの三重塔が見える。
この塔は子安塔と言って聖武天皇、光明皇后の祈願所と伝わる。
暗闇に遠く三重塔が浮かび上がる光景もまた感動的だ。
本堂に入ると前方に南の谷側へ張り出した清水の舞台が見えてくる。
くぎを一本も使わず139本もの欅の柱を用い、巨大な舞台を支える懸造りの技術もまた日本の誇るものだろう。
舞台からの景色もまた比類なき景色。
さながら音羽山全てを一つの作品として魅せている。
山のあちこちにライトを仕掛け、あちらの桜は浮かび上がるように、こちらの林は平面的な絵画に見えるかのようにと、計算しつくされた芸術品になっている。
もちろん舞台から遠く見下ろす京の街の灯りもまた。
人工的な直線の京都タワーまでがアクセントになっている。
ただただ言葉を失うのみ。