◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
三十三間堂は正式名称を蓮華王院の本堂という。
つまり天台宗妙法院の管理する仏堂であり、正面の柱間が33あることから三十三間堂と呼ばれている。
なお天台宗と言えば、空海と並び称される平安時代の僧 最澄が比叡山延暦寺を開き教えを広めた密教で、妙法院はその天台三門跡のひとつとされ、場所は三十三間堂隣の国立京都博物館裏手になる。
三十三間堂は国宝に指定されており、本堂の内部には約500体の千手観音こと十一面千手千眼観世音像が安置されている。
また毎年1月中旬に楊枝のお加持と呼ばれる大規模な縁日が行われ、大的大会という通し矢の弓道大会が行われることでも知られている。
堂内は撮影禁止なので写真は全部三十三間堂の外の庭園から。静寂の文章と雰囲気が違うけど許して。
敷地に入るとすぐに受け付けがあるが、個人と団体の受付が分けてあり、宗教施設らしさよりも観光名所らしさが勝って見える。
拝観料を払って中に入ると下駄箱がある。ここで靴を脱いで本堂に入ることになるが、本堂内は撮影禁止だ。
廊下を曲がると薄暗い堂内だった。
ある程度多くの観光客がその広い三十三間堂の廊下を歩いているのだが、音が消えているような錯覚に見舞われる。
正面に廊下が伸びて、右側にずらりと千手観音が並んで見下ろしている。
観音像は横は一列、縦は十段の階段状に並んでいて、背には光背、みな眉は弓なり目は細く穏やかで、口元はアルカイックな微笑を浮かべている。
頭の上に小さな十体の頭を乗せて、手はそれぞれ40本。錫杖、鐘、縄、水差しなどを持っている。
色は黄金で、しかし経年変化で既に輝きは失われ燻したようなくすんだ色に見えてそこが逆にリアリティを感じさせる。
よく見るとずらりと並ぶ観音様は一人一人顔が違うのだ。ある観音様は少し頬がふっくらしていたり、ある観音様は薄目を開けていたりする。
ここにはひとつの閉ざされた宇宙があり、異なる時間が流れている。
やっぱり三十三間堂に来てよかった。