◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

23.金閣寺に「無いわ～」

　お札チケットを見せながら唐門を潜ると、係りの男性がさっさと左へ行けと邪険に指を差す。とにかく外国人を含む観光客が大勢右往左往しているので立ち止まらないでほしいようだ。
　そうは言っても先ほどのリーフレットの配布と同じで宗教施設が拝観に来たお客さんに対する態度とはとうてい思えないレベルの低さ。がっかりしてしまう。

　指示されるまま左へ移動して池越しに振り返ると、まさにそこに教科書で見ていた通りの金閣が建っていた。
　親子三人で無意識のうちに口から出た言葉は、
　「無いわ～」だった。

　「無いわー、非現実的すぎる。あまりにも凄すぎる。何この金ぴか。冗談にもほどがある!」
　晴れていたら晴れていたで青空にくっきりと太陽を反射した金色の舎利殿はまぶしさに目がくらむであろうし、雪をかぶった冬景色の姿であっても凄まじい存在感を示しただろう。
　今日のように薄曇りのどことなく灰色の空であっても、これがまたくすんだ現実の景色の中に、そこだけ非現実的な金色の物体があることにむしろ足元が危うく感じられるような奇妙な感覚に見舞われる。
　すごいや金閣寺。
　本物は知識のインパクトを軽々と超える。