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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

12.京都の寺社の赤いバケツ











 御殿の一番奥は画家 尾形光琳の屋敷を移築した遼廓亭となっているが、ここは非公開なので霊明殿が行き止まりとなっている。
 霊明殿に続く渡り廊下から軒下の赤いバケツが見えたので、子供たちがあれは何だと言い出した。
 渋いわびさびカラーの寺院でそのバケツの赤があまりにも浮いていたので。

 このバケツは以降見学したすべての寺社で目にすることとなった。中には一石二鳥とばかり榊を活けているところもあったし、多くは目立たないながらいざという時にはすぐに使える場所にいくつも並べてある。
 これは火災の際に使うものだ。
 日本の歴史的建築物のほとんどは木造で、また日本海側を除き冬季には乾燥する。
 文化財の最大の敵は火災だ。
 先ほどの宸殿も再建されたものだが、こうして古都京都を古都たらしめる多くの歴史的建築物が既に建築当時のものを残していない。
 京都の話ではないがこの冬も不審火による神社仏閣の火災ニュースが相次いだ。
 千年守ってきた文化財もそれを大切に思う気持ちや宗教的なものであれば信仰心も、一本のマッチでずたずたにされる。一度燃えてしまったものは物理的には二度と戻らない。
 本当に火災は怖い。


御殿と庭園の見学も終わり、再び外へ




1-13御室桜にはまだ早いへ続く


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