キッザニア X キッザニア キッザニアのキャンドルナイト

*05*




壁にくっついているこれがトルカのリーダライター
当然カナはビジネススクールをやりたがった。

しかし、カナがスポーツクラブをしている間にビジネススクールは次の回が始まってしまい、さっきより更に待ち時間が長くなっている。

「キャンドル職人まであと2時間・・・1時間以上前にはフリーになっていたいから、今選ぶとしたら待ち時間が少ない物にしておかないと・・・」
「・・・」

ちょうどスポーツクラブの壁にトルカのリーダライターがあった。
「ほら、カナ、トルカだよ。カナの借りた携帯が使えるんじゃない?」
トルカとはリーダライターにかざすことによってドコモの携帯に情報を取り込むことができるサービス。
といっても、さっきも書いたが我が家はau家族割りファミリーなので(ちなみに子供には携帯は持たせていない)、トルカの詳しいことは私も知らなかった。

「トルカって何?」
「えっ、携帯電話ショップで借りたとき、説明を受けなかったの?」
「何も言ってなかった。トルカなんて聞いたことないよ」
・・・キッザニア公式サイトでは大々的に「園内のトルカで情報ゲット」みたいなこと書いているのに、それはないんじゃない?

とにかく使い方が判らないまでも、カナは借りた携帯をぴかぴか光っているリーダライターにかざしてみた。
・・・何も起こらない。

何か携帯の方で操作してからかざさないといけないのかなぁ。
なんだか携帯電話ではトラブルばかり。



今日は土曜日で混んでいるからがつがつしない・・・とは決めていた。

でも、カナが未体験で待ち時間が少ないところなんてそう簡単に見つかるもんじゃない。

「観光バスは? バスガイドはやったけど、お客さんはやってないじゃない。お仕事カードを集めるならやってみたら?」
バス停に行くと、次回のバスガイド二人と、お客さんが三人待っていた。
カナはお客さんのベンチに腰を下ろしてバスを待つことにした。



レナのラジオ局はまだ続いている。

なんとそこへyuko_nekoさんがちび姫ちゃんを連れてあらわれた。
「あれー? どうして?」
「次、ラジオ局やらせようと思って」
ちび姫ちゃんは食品開発センターの後、ガードマンをして、ラジオ局にやってきたらしい。
yuko_nekoさん第一希望のテレビ局は、なかなかタイミングが合わずいつ行っても定員が決まったばかりだと言われたようだ。

今日のテレビ局の定員も基本的に9人らしい。
多いときは12人まで募集するのだが、こんなに混んでいる日でも9人しか募集していないと言うことは、たぶん並ぶ子供の人数ではなく、担当のスーパーバイザーを何人配置できるかでその日の募集人数が決まるのではないかと思う。

ラジオ局で会ったyuko_nekoさんに、「よしかさん、おもちゃショーに居たときよりずっと元気になってる」と言われてしまった。
そうかー、キッザニアに来ると元気になるんだね、私って(笑)。

レナの回の後に、ちび姫ちゃんは入った。マイクで話すのは嫌いみたいで、ディレクターを希望して音響になっていた。

実はレナもナビゲーターはやりたくなかったらしい。後でこんなことを言っていた。
「本当はオンリョーがやりたかったんだよ」
「音量じゃなくて音響でしょ」
「違うの!! オンリョー!!」
・・・お、怨霊かいっ。
「うらめしや〜ってか?」



そーいえばレナは、研究員でサルモネラ菌を研究したときも、サルモネラ菌は食中毒ならぬチューショク毒を起こすと信じていたし、カーディーラーで売っていた車もパジェロじゃなくてパジルだと信じていた。

どうやったらそう聞こえる!?

とりあえずレナは5時50分にラジオ局の仕事が終わったので、私は彼女を連れて1階へ降りた。
もしかしたらぎりぎり、カナと同じ観光バスに乗れるかもしれないと思って。

でも無情にも黄色い観光バスは発車したばかりだった。
あーあ。
あと1分早かったら乗れたかも。

カナで難航したのだから、レナが今からできるお仕事は無いかもしれない。
とにかく何の目的もなく観光バスの後をついて回る私たち。



カナもすぐに横を歩く私たちに気づいた。

でも至極不機嫌そうな顔・・・。
思えばこれが最悪の事態の始まりだった。



6時ちょうど。
カナの乗ったバスが園内を一周して、元の停留所に戻ってきた。

バスから降りてきたカナを迎えて、食べ物関係のパビリオンが並ぶ大通りを歩く。

実はキャンドル職人の最終回に入るために、いろいろ綿密な計画を練ってきた。
でもその前に、まずは現在の様子を聞かなくては。
そう思って私は、まだ並ぶつもりはないものの、キャンドル工房に行って、入り口にいるスーパーバイザーに状況を尋ねた。

「えーと・・・」
スーパーバイザーは奥をちらりと見て私に言った。
「現在、最後の回のご案内をいたしております。並ばれますと、今日最後のお仕事になってしまいますが・・」

さささささ最後の回〜!!!?




観光バスのチケットだよ
この時点で6時2分。

つまり、キャンドル職人の2回目の回が終わったばかりで、3回目の回はあと30分ほどでお仕事に入れる。

私たちが狙っている4回目、すなわち最後の回は、今から並ぶと約1時間半待ち。

でも最終回の募集を始めているということは、目の前でとりあえず10人並んだらジ・エンド。
後がない。

って、いろいろ練ってきた時間調整の計画など実行する余裕無いじゃ〜ん。

並ぶか、後にするか。
でも後にして、10人揃っちゃったら後悔するに決まっている。
「並ぶ?」
レナはすぐに肯いたが、カナははっきりしない態度。
「・・・一時間半待つの・・・いやだ」
私としては、何か他のパビリオンを間に入れたらまず間に合わないし、キャンドル職人のためだけに今日の予約を入れたのだし、前回思い残すことが無いように沢山の仕事と体験をしたのだし、第一、今日ここに来たのは、特にカナが「どーしてもキャンドル職人がやりたい」って言ったからじゃないか!! と思うと、簡単に諦めてほしくない。

それにお菓子工場だったら1時間半待ちなんてざらだよ。
それにお菓子工場だったら、今日できなくても次回があるけどこれには無い。

ここまで来てやらないの?
今決意しなかったら、もうやるチャンスは無いんだよ?



「じゃ、やめる? 他のお仕事探しに行く?」
「やだーっ。カナと一緒にキャンドル職人やる!!」
レナの方はやる気まんまんだ。
そしてカナもぶつぶつ不機嫌なことを言っているものの、自分からやめるとは決して言わない。

後から思っても、私はこのときどうすれば全てが丸く収まっていたのか判らない。
今でも判らないくらいだから、そのときはもっと混乱していた。

そもそも彼女がやりたくないのか、そうでないのかすら判らないのだから。
いや、判らないんじゃなくて判っている。
もしこんな精神状態じゃなかったら、絶対にやりたいはずだと思っている。
カナは工作とかデザインとかそういったことが何より大好きなのだから。
前々からずっとずっとキャンドル職人をやるのを楽しみにしていたのだから。



でもやっぱり、やめさせるべきだったのかもしれない。

とにかくカナとレナが並ぶと直ぐに、キャンドル工房の前に人が集まり始めた。

最終の募集が始まっていることを誰かに伝えたくて、私は大通りを歩いた。
すると、ちょうどじゅじゅはるさんとすれ違った。
じゅじゅはるさんは私に気づかず凄い勢いで行ってしまった。

実はじゅじゅはるさんのお子さんたちは初回にキャンドル職人を体験したものの、最終の回も希望していて、じゅじゅはるさんは最終募集が始まったことに気づいて大急ぎで自分の子供たちに伝えに行ったのだった。

カナとレナが1番札と2番札だったが、じゅじゅはるさんのお子さんを含めてすぐに人数は揃い、6時15分頃に全ての回のキャンドル職人募集は締め切られた。

その後も何人も親子連れが来て、受付終了の看板を見ては諦めて去っていった。


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