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一度でもキッザニアに行ったことのある人なら、ここでの10分がどれほど貴重なものかわかると思う。 増して事情も判らずただ待っている身には長く辛い10分だったろう。 始まった直後に誰も来ていなかったときは、「すぐに来てくれるから大人しく待っていようね」と声を掛けていた私も、流石に10分はひどいと思い、すぐに誰か話を聞いてくれそうな人を捜しに行った。 商店街をのぞくが、とにかくはんこ屋も花屋も作業中のスーパーバイザーは忙しそうで声を掛けるのが憚られる。 通路を突き抜けて空港前に行ったが、そこに立っているのが背の高い外人のスーパーバイザー一人だったので、込み入った話をするのに、もし細かいニュアンスを判ってもらえなかったらと躊躇してしまい、私は今度はカーエリアの方に歩き出した。 たまたま前方から歩いてくるカメラマンがいた。 カメラマンじゃ担当外かと思ったが、とにかく捕まえた。 「実は娘ががくぶち屋で待っているのですが、誰もスーパーバイザーがいなくて全然始まらないんです」 カメラマンはすぐに別の女性スタッフを見つけ、事情を説明した。 彼女はすぐさまがくぶち屋を確認に行き、確かに誰もいないのを見届けると、額縁屋の中からどこかに電話した。 「もうこれで大丈夫だよ。きっとすぐ誰か来てくれる」 私はカナに説明した。 それにしてもキッザニア、これはいただけないよ。 どうかお願いだからちゃんと配置して。 |
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開園から12分が経過して、ようやくがくぶち屋の仕事がスタートした。 それにしても相変わらずがくぶち屋はカナの他に誰も並ばない。はんこ屋の列は更に長くなっているのに。 今日は混雑しているので狭い商店街通りも何人も子供たちが通り過ぎる。 通る子供たちはここは誰も並んでいないので並ぶ場所だとも認識していないみたいだ。スーパーバイザーも、まだあと一人なら入れますよなんて声も掛けずにカナの相手だけをしている。 劇場関係やパレードダンサーのように大々的に募集を掛けるお仕事もあるが、割とキッザニアは自主的にこちらから聞かないと、空きがあることも積極的に教えてくれないことが多い。 それだけ子供の成長には役立つこともあるけど、勿体ないなぁと思うこともある。 携帯電話ショップに巨大携帯がお目見え。 張りぼてじゃなくて本当に操作できて、それを使って最近は携帯検定など行っているらしい。 ・・・そうか、携帯だと思うから違和感があるけど、縦長のパソコンだと思えばそんなに驚かないな。 というか、既にパソコンと携帯電話の垣根も崩れつつあると思う今日この頃。 |
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上の2枚と右の画像はレナが体験中のトラベルセンター。 仕事はスイス旅行のツアーを自分でプランニングすること。 まずパソコンを決め、そこの引き出しに荷物をしまい、それからスイスの勉強をする。 地球儀でどこにスイスがあるか探したり、映像を見てスイスの特色や郷土料理を勉強する。 それからパソコンでツアーパンフレットを組む。パンフというか、まあ一枚紙なのでちらしだけど。 レナは行き先は国際都市ジュネーブを選び、キャッチコピーは「きれいな噴水を見よう」。ホテルはレマン湖の近く。料理はチーズフォンデュと湖の魚料理にした。 トラベルセンターのパソコンは、モニターの上にカメラが付いていて、これで撮影した自分の顔もパンフレットに掲載する。 |
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レナが仕事を終えたのが10時25分。 まだ開園して30分経過していないから、ここで初回を終えたばかりの仕事の定員に入れれば、非常に効率よく回せる。 レナをスポーツクラブに連れていった。たぶんまだまだ余裕で、カナががくぶち屋の仕事を終えたら姉妹でインストラクターを体験させられそうだと思った。 ところがここでまた上手く行かなかった。 スポーツクラブに行ってみると、ちょうどインストラクターの仕事がスタートするところだった。 入り口のスーパーバイザーはレナを見て、始まったばかりだから今ならまだ入れてあげられると言った。 「やりたくない!!」 「え〜っ!!」 ななななんで? 「先生は絶対やだ」 「スポーツクラブあんなにやりたいって言っていたじゃない」 「先生はやだ」 生徒じゃないと嫌だということらしい。 でもでもでも・・・思わずいろんな打算が頭を駆けめぐる。
「嫌だったら嫌!」 そこへ二人の男の子がやってきた。 スーパーバイザーはその子たちにもう仕事は締め切ったから、後はヨガの時間まで待ってもらうことになるけどと説明した。 レナだけなら決心すれば入れてくれるということらしい。 「ここならすぐ始まるけど、他へ行ったら長く待たなきゃならないよ」 「やだっ!!」 レナは駆けだした。 追おうとした私にスポーツクラブのスーパーバイザーはこう言った。 「やりたくないお仕事をやると楽しめないと思いますので」 ・・・・はい、そうでした。反省。 |
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ちなみに後になってレナに、スポーツクラブのインストラクターは生徒役に教える訳じゃなくて、先生になるための勉強をするだけなんだと教えると、「じゃ、やれば良かった」と言いだした。 でもそのときには私も詳しい内容を知らなかったし、伝える余裕も無かったから仕方ない。 元々インストラクターをやりたがっていたカナも「レナやれば良かったのにもったいない〜」と言った。 スポーツクラブのインストラクター研修中。 ストレッチの仕方など教えられるように勉強するそうだ。 またレナがyesと言えば入れたということは、この日は定員に満たなくても既に並んでいる子供たちの待ち時間を長くしないようにスタートさせたということになる。 但し、この曖昧なシステムも流動的な気がするから、しばらくしたらもう少し判りやすいスケジュールに変わるのかもしれない。 |
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とにかくレナの姿が無い。 どこへ走っていってしまったのだろう。 私はまだキッザニアの中で子供を見失ったことがない。 もちろん危険はないけれど、どこに行ったか判らないとやっかいだ。 探さなくては・・・。 2階の様子をちょっと見て、それから1階に降りてみた。 あっ、いたっ。空港前から食べ物関係の方へ歩いていこうとしている。 ばさばさと手に持っている荷物が落ちた。 大事なキッゾの入っている緑のサイフだ。さらに何枚かお札が舞った。 でも怒っているレナは拾おうとせずにずんずん歩いていく。仕方なく私が拾って歩いた。 「ママがやれって言うから」 いや、やれとは言ってない、やれとは。お願いとは言ったが。 「やりたくないけどやらなくちゃいけないんでしょ!!」 いや、もうやりたいって言っても無理だから。 「どうすればいいの」 「好きなところに行っていいです」 それでレナはなんとか落ち着きを取り戻し、ハンバーガーショップやビューティーサロンといったやりたいお仕事のパビリオンで待ち時間を聞いた。 両方とも1時間半待ちだった。 愕然とするレナ・・・(だから言ったのに・・・ああいやいや、そんなことを言ってはいけないんだった)。 今度はレナはカーエリアに向かって歩き始めた。 |
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キッザニア体験レポ 本物のテレビ局のお仕事だ!3へ続く
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