霧島・えびの高原、桜島と鹿児島市内、指宿・・・と、ここまでの鹿児島の旅はどっちを向いても温泉だらけだったが、薩摩半島の南端で折り返し、外海側を北上するラインにはこれまでほどは温泉地の名前が見当たらない。
ここまで来たらまずは枕崎。
農産物直売所や海産物市場好きのパパは当然、枕崎お魚センターを旅程に組み込んでいる。
いつの間にかずっと見えていた開聞岳の整った山容も遠ざかり、田舎道を走っていたと思ったら海が近づいて、正面に町が見えてきた。
花渡川の河口を中心とした平野はすぐ後ろに山が迫っていて、平らな土地に隙間なく建物を建てているように見える。
以前は台風の被害に合うことも多かった土地で、海風にふんばれるようにずんぐりとした建物が多い。
「なんか変な岩が見えた。港の先。つるぎみたいなやつ、いやいやサメが近づいてくる時に見えるヒレみたいなやつ」
「えっ、どこ?」
パパが運転しながら探してももう見えない。
枕崎と言えば鰹節。
「生のカツオは高知のイメージがあるけど、何故か枕崎は削り節なんだな」とパパが言う。
町中に入ると鰹節工場や倉庫も目につくようになる。
通りすがりに見かけた「枕崎市通り会連合会商店街案内所ぶらり」という建物に「おだしショップ」とあって笑ってしまった。
確かに、お出汁は鰹節だね。
時間が1時ちょっと前だったので、枕崎お魚センターに行く前にどこかで昼食を取りたい。
せっかく枕崎にいるのだから、ぜひとも新鮮な魚介が食べたい。
枕崎では鰹ラーメンも有名らしいけど、お寿司が食べたい気分。
ところがこんな時に限って寿司屋が見つからないもの。
仕方なく、枕崎駅前観光案内所に寄って、近くにお勧めの寿司屋は無いか聞いてみた。
ちなみに駅前観光案内所と言うが、その案内所の前に立って見回しても周辺に駅らしいものは見当たらない。線路も無い。
観光案内所の横に「日本最南端の始発駅 枕崎」と書かれた灯台のオブジェは立っているけど。
電車が着て停まってようやく駅が判った。ここからだと物陰になっていてよく見えないよ。