◆◇夏休み函館紀行◇◆
母娘函館観光旅行記

1.あの夏の函館を振り返って

　これを書き始めた今は既に関東平野部でも早い雪が舞おうという12月初めだ。
　早く早くと思いながら既に函館に旅行してから4か月も過ぎてしまった。

　あの夏の日差し。
　息切らせ汗かきながら登った坂道。
　見下ろした港。
　笑いながら自転車で周った湖。
　花また花。
　甘いケーキ。
　揺れる馬の背。
　壊れたテレビ。
　オルゴオルの音。
　熱くて半泣きになりながら入った露天風呂とか、
　夏なのに冬みたいに寒すぎた夜の展望台と宝石をぶちまけたような夜景とか、

　ぜんぶぜんぶ忘れてしまう前に文字にしないと。

　そんなつもりで今更かもしれないけど書き始める。
　あの夏の函館旅行記。

初日　2012年8月8日(水)

　なぜ函館だったかと言うと、春の長崎旅行に続いて「母の私、中三の長女、中一の次女による母子旅行」「ANAのマイレージを効率よく使いたい」「行ったことがないところ」「公共交通機関で観光できるところ」などの条件から、鹿児島、四国、山陰、京都などの候補地を選び範囲を狭め、例えば京都なら飛行機じゃなくて新幹線で行けばいいじゃんとか外していった中で、希望日程の飛行機の座席状況を調べたら、ちょうど函館行きが空いていたというもの。

　私は北海道は夏に4回、冬に3回、子連れでも既に2回行っているけれど、道央、道東ばかりで実は道南、道北に行ったことがない。
　つまり函館は未踏の地だったのだ。

　行先を函館に決めたのは良いが、8月初めに急きょ思い立って四万温泉旅行に行っちゃったりしたんで、函館の宿を手配したのはもう出発ぎりぎりぐらいだった。
　おまけに持病もやばくなったりして、行く直前は冷や冷やした。