新年明けましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年中に「アル天」が完結することを祈って・・・
さて、雲の切れ間よりアレッチ氷河を拝んだ私たち3人は、クライネシャイデックまで下りてきました。お天気は少々下り坂か、朝、WABの窓から3山を見上げたときよりはかなり雲が増えています。問題のハイキングコースは、クライネシャイデック−ウェンゲルンアルプか、クライネシャイデック−メンリッヒェンか悩むところ・・・
ユングフラウ鉄道が駅に到着し、電車を下りる頃には心は決まっていた。やっぱりクライネシャイデックからメンリッヒェンまで歩こう。どうせなら行きと違うコースの方が楽しいだろう。
ダンナが聞く。
「これからどうするの?」
「ん、メンリッヒェンまでハイキング」さりげなく答える。どうせダンナはコースなんて憶えていない。
「ふーん」
ほら。
時刻はもう午後の2時過ぎだ。そろそろお腹もすいてきた。クライネシャイデックのレストランのテラスでちょっと遅いお昼ご飯という手もあったが、私たちは買っていくことにした。ハイキングコースの途中でお弁当を広げるのはきっと楽しいに違いない。想像しただけでわくわくする。
レストランの横でパンやパイを売っていた。私たちはそこで一人2個づつのパンと、一瓶の水を買って出発した。
まずはWABの線路を渡ってその先へハイキングコースは延びている。ちょうど左手から電車が登ってくるところだった。あれは私たちが来たラウターブルンネンではなくグリンデルワルトから来た電車だ。足元を見ると、ラックレールのぎざぎざがある。
右手にそびえているのはラウバーホルンか。斜面では何人かの人が気持ち良さそうに寝ころんでいる。気持ちは良さそうなんだけど、場所が場所だけにちゃんと敷物をひいているのかついつい余計なことを心配してしまう。
コースはほとんどたいらだが、出だしだけはかなり急な登り坂だ。乳母車でも大丈夫との売りだったが、ここだけはみんな苦労するらしい。特に反対側から下りてくる乳母車を押したお父さん達は四苦八苦だ。乳母車には何故かみんな風車のような可愛らしい傘が付いている。
実際、乳母車を押している人は多かった。乳母車だけではなく、とにかくこのコースは人が多かった。私たちとおんなじ方向に歩いている人も、反対側から歩いてくる人もたくさんいた。人種もさまざまだし、年齢もさまざまだ。ちっちゃい妹の手をひいた妹よりはちょっと大きいお兄ちゃんや、しっかり手をつないだ白髪の仲良しご夫婦もいる。みんなにこにこしている。
歩き始めてすぐに、右手に展望台が見えた。階段をずっと登っていくと屋根のついた展望台がある。下からみても、あそこに登れば「すごいアイガーの北壁」が臨めることがわかる。…が、我々は登らなかった。
なんでって? 母の体力の消耗が心配だったのと、反対側から来ればここで「すごーい!!」となるのはわかるが、残念ながら我々は3山が並んだクライネシャイデックの方角から来たものでついつい先を急いでしまったのだ。
さて、このコースで心配だったことの一つが、メンリッヒェンから歩くのと違ってクライネシャイデックから歩いた場合、アイガー、メンヒ、ユングフラウの3山を背にすることになるのではないかという点だったが、実際歩いてみてそれは杞憂であることがわかった。所詮、このコースで3山が揃うのは、スタートとラストの2箇所だけなのである。クライネシャイデックでは、視界に収まりきれないほどの迫力の3山を、メンリッヒェンではチュッゲンが邪魔ながらカメラに入りきるバランスの良い3山を堪能することができる。
それ以外の地点では、ラウバーホルンとチュッゲンの山腹を巻いて行くためどちら向きに歩いてもアイガーやヴェッターホルンが前になり、横になり、後ろになり、楽しませてくれる。
本当にこのコースは、どちらからでも楽しめる万人向きのハイキングコースなのだ。人が多いのもうなずける。
「ハロー!」
「ボンジュール!」
ハイキングコースではいろいろな国の挨拶が飛び交っている。
初めての海外旅行に戸惑っていた母が、気がつくと自分から「ハロー」と言っていた。すごい進歩だ。
今回はわりと消極的な展開でしたね。次回はメンリッヒェンまでたどり着くのでしょうか??
次回は9月の高山植物と、遅いお昼ご飯についてお送りしたいと思います。