** ケアンズと森とビーチの休日 **
窓の外は雲が増えてきて、陸地の上に巨大な雲が捻れながらのし掛かっているところもあった。きっとあの雲の下はスコールだ。
映画は二本とも何とか子供に邪魔されずに見られた。
「ホリディ」はコメディだけど何となく感情移入してうるうるしてしまった。
対する「幸せのちから」はあまりにもわざとらしくて泣けなかった。実話だというがこういう主人公に次から次へと不幸の波が押し寄せる話は苦手だ。
途中でリフレッシュのためにアイスキャンディーが配られる。
これは黙っていてもみんな受け取れた。
だがしばらくして次にリンゴが配られたときには危うく無視されるところだった。
ちょうだいと意思表示する。
CAはちょっとムッとしたようにリンゴを渡してくれた。
パパはもともと果物は好きじゃないから受け取らない。
ところが半分囓り終えた後、後部座席を振り返ると子どもたちはリンゴをもらえなかったことが判った。
まさか子供にも渡さないとは思わなかった。
「半分囓っちゃったけど、いる?」
「・・・いらない」
ごめんごめん。
リンゴを配りに来たCA・・・まさか子供にも渡さないとは思わなかった。ちょっと吃驚。
最後に軽食が出される。
大人の分は焼きうどんのようなものだった。デザートのカットフルーツはさっきリンゴを食べ損ねてしまった子どもたちに取られた。これはいたしかたない。
周りを見回すと、うちの子どもたちのようにニンテンドーDSなどのポータブルゲーム機で遊んでいる人が多い。持ち込んだノートパソコンを広げてDVDを鑑賞している人もいる。
そろそろ窓の外も暗くなってきた。
時計は離陸時に日本時間に合わせてしまった。
まもなく成田。
旅の終わり。