12.豹柄のゲッコー
時間ぎりぎりのところでレジを通過した。
パパと子どもたちはまだ戻っていない。
Kマート周辺の店をウィンドーショッピングしていると、やがて嬉しそうな顔で子どもたちが戻って来るのが見えた。
「買えたの?」
「見て見て」
カナが黄緑色の包装を剥ごうとすると、レナが待って、私が先に見せると止めた。
「どっちからでもいいよ。ゲッコー見つかった?」
「見つかったよ」
「ほら」
包装紙の中から出てきたのは何故か豹柄のぬいぐるみだった。
何故にヤモリがヒョウなんだ?
パパは
ショッピングセンターの反対端まで行って、三年前にディズニープリンセスの着せ替え人形を買ったトイワールドを探したらしいが、あいにくと敷地内でも別棟で営業していたあの店は閉店していた(私はそのことを知っていたので聞いてくれたら教えたのに)。
他にはクレイジークラークスぐらいしか玩具を扱っている店が見つからなかったが、ゲッコーはやっぱり土産物系だろうと、狙いを定めてアボリジナル・ショップへ入ったのだそうだ。
「そうしたらね、ソファーの所にこの子がくったりと寄りかかっていたんだよ」とレナ。
「もう一匹は別の所にいた。お店のあちこちに全部で三匹いたんだよ」とカナ。
どうやらこれは子供の玩具ではなく、どちらかというとインテリア品らしい。
持ってみたらずっしりと重い。幼児向けのぬいぐるみにはあるまじき重さだ。
「そりゃそうだよ、砂が入っているんだもの」
す、砂入りのぬいぐるみかい。