** ケアンズと森とビーチの休日 **
手すりに取り付いて梯子を登りプラットフォームに着くと、ここからマングローブの中を木道が渡っていることに気づいた。
マングローブを傷つけないように上陸できるようにとの配慮だ。
木道を渡り終えるとただっ広い砂地の場所に出た。
ぽつぽつと木が植わっていて、右手にさっきのボウエン山が見える。水のないビーチのような不思議な場所だ。
この砂地を横切るのにレナは四苦八苦していた。行き先がどこだか判らないので歩く気力が出ないらしい。おまけに太陽はじりじり。熱射病になりそうだ。
みんなはどんどん行ってしまった。
パパとカナも。
太古の地球を彷彿させる不思議な景観 広々として人間の気配が無くて
正面にちょっとした坂があって簡単な階段が作ってある。
みんなもうあの坂を上って向こう側に行ってしまったらしい。
「レナ、がんばれ。あと少しだよ」
「あと少しってどれくらい?」
履いているマリンシューズの中にも砂が入ってきて気持ち悪いらしい。何度か脱いでは払っている。
でも脱いで砂の中に足をつけば、益々足も靴も砂だらけ。それが嫌で益々機嫌が悪くなる。
「ほら、あの階段を登ればきっと終点だよ」
そう言ったとき、階段の上にカナが現れた。戻ってきてくれたのだ。
「レナー、早くおいで、早く早く!! ここを登ればすぐだよ。海が見えるよ。水色のとっても綺麗な海だよ」
レナは力を振り絞って歩き始めた。
カナはレナの手を引いて上げる。
階段を登るとその後ろから海がせり上がってきた。
ホントだ。
すごく綺麗な水色の海だ。
二人は並んで海に駆けていった。
そこは広い砂浜で、先に着いたみんなはめいめい荷物を降ろしてくつろいでいた。
外海に面したラムゼイベイに着いたのだ。