彼女とパパがせっせと電球を交換している間も、私は鳥の声が聞こえる度にカメラを持って右往左往。
さっき赤い実をついばんでいた小鳥がバルコニー正面の椰子にとまったので慌ててカメラを構えると、ロラリーが言った。
「あれはグリーウィーよ(? そう聞こえた)。そんなに珍しい鳥じゃないわ。鳥だったらぜひコクトゥーを見てほしいわ。オーストラリアでもとっても綺麗な鳥よ」
「ロリキート?」とパパ。
「ううん、ロリキートじゃなくてコクトゥー」
パパがこっそり私に聞く。
「コクトゥーって何?」
「オウムだよ。ロリキートより大きい」
「小鳥が好きなの?」とロラリー。
パパは私を指して「彼女は鳥が大好きなんだよ」と言ってさらに「カソワリーが見たいけどカソワリーはどこにいるの?」と聞いた。
ロラリーはちょっと考え込んだ。
私たちは
ジョンストンリバークロコダイルファームなど動物園のような場所では何度も見たことがあるが、野生のカソワリーはまだ見たことがない。
一昨年のクロコダイルスポッティングツアーに参加するときも、パンフレットにはカソワリーの絵が描いてあったがロラリーはそれを隠して「ノー」と言っていたし、レーシークリークのウォーキングトラックに行くときもロラリーはわざわざ「カソワリーは出ないわよ」と言っていた。つまり期待しても可能性はゼロに等しいってことだ。
「・・・そうだ、いい場所があるわ。ホライズンの庭に出るらしいの」
「ホライズンってサウスミッションビーチの高級リゾートホテル?」
「そう、あそこでカクテルを飲んでいると野生のカソワリーが見られるらしいわ。サンセットにあなたたちはカクテルを飲んで、チルドレンはプールで遊ばせておけばいいわ」
「本当にカソワリーが出るの?」
「本当ですとも」
「エブリディ?」
ロラリーは手の平を空に向けて肩をすくめた。