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26.プールの中の四つの勢力圏




 




 ビーチは木々の影が長く伸びていた。
 遠くに散歩している人のシルエットが見えるだけで後は誰もいない。
 正面に丸い月。
 右手に緑豊かなダンク島。
 私がこのビーチを好きな理由の一つはナチュラルなことだ。
 ビーチからは海と島と木々しか見えない。
 ミッションビーチには多くの建物が建っているはずだが、それらは木に隠されて視界には入ってこない。
 うわぁい、やっとミッションビーチに戻ってこられたぞー。




 プールではカナとレナが遊んでいたが、そのうちにロラリーの娘のBちゃんが加わった。
 加わったといっても一緒に遊んでいるわけではない。
 お互いに距離を置いて別々に遊んでいる。
 Bちゃんは顔はロラリー似の美人だが、性格は姉御肌の母と違いとってもシャイだ。
 目があったので手を振ると、ちょっともじもじした後恥ずかしそうに手を振り替えしてくれた。後でパパが私たちのことを覚えているかと聞いたら覚えていると答えたそうだ。
 そのうちにもっと人数が増えてきた。
 Bちゃんと同じくらいの年の活発な男の子が二人と、レナより少し小さいくらいの大人しい女の子が一人来た。
 後から来た三人はウォンガリンガに泊まっている兄弟か友達同士のようで、これまた男の子は男の子だけでちょっと乱暴な遊びを、女の子は一人ずっと離れたところでもくもくとバケツを使った遊びをしている。
 狭いプールで四つの勢力圏ができている。

 みんな互いを意識しているのだが、なかなか交わろうとはしない。
 やっとそのうちに男の子たちとBちゃんが一緒にビーチボールで遊び始めた。
 パパが、Bちゃんはお客さんと仲良くなってもすぐにみんな帰っちゃうから寂しいだろうねと言った。

何故かプールの中には四つの勢力圏ができていた





4-27私たちはミッションビーチの砂浜で星を見上げてへ続く


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