パイロットの大きな手と握手して、油の臭いがしそうな大きなライダーズジャケットを着せられて、ヘッドホンとごついヘルメット。さあここに足をかけて座席に着いてと指示される。
よいしょと座るとシートベルトでしっかりとくくりつけられて、パイロットがすぐ前に座る。準備はOK?
簡単に飛ぶことを決めたように見えるかもしれないが、実際には5分以上逡巡した。
どうしよう、やっぱり怖いし料金も安くない。
でも目の前にマイクロライトとパイロットがいて天候も完璧。もうこれきり
マリーバに来る機会があるか判らないし来たとしても
ジャイクス農園に来る可能性は低いだろう。
こんなに何もかも状況がお膳立てしてくれたのにまさか飛ばないつもり?
パパは「飛びたかったらどうぞ。いや、俺は乗らないよ。落ちたら嫌だから」
willieさんは「自由にしてもらっていいんですよ。貸切ガイドというのはそういうものですから」
子どもたちは「駄目ーっ、絶対駄目」
えっ、駄目?
どうしても駄目?
「・・・じゃ、代わりに私のポケモンをレベル100まで育てて」
「レナのも。ジム戦もクリアして」
判った判った、レベル100とジム戦ね。
「敵ボスも倒して」
おやすいご用。
「やっぱ駄目。ママずるい、私も乗りたい」
へっへっ、ごめんね。